連載第6回目は、前回に引き続き、ワーキングプアについて考えて行きたいと思います。

6月8日に起きた、秋葉原における連続殺傷事件においても、ワーキングプア世代と思われる若者が係わっています。このような事件は、個人的な資質が大きく係わっていると思いますが、社会的に全く無関係とはいえない面も指摘されています。

ワーキングプアの実態

1. 若年層

高等教育を受けているにもかかわらず、正社員となることが適わなかった若者が、日雇いなどの非正規社員として就労している。例としては、大企業の工場などに「派遣」や「業務請負」、「日雇い」として安い賃金で労働し、最低の生活水準に甘んじていることである。また、住む場所もなく、ネットカフェなどをねぐらとし日雇いとして働き、わずかな収入でその日暮らしをしている。これは、数年前にテレビで放映されていた。

2. 熟年層

ワーキングプアはまた、若年層に限らず、年老いた往年の若者をも襲っている。ライフスタイルの変化という時代の流れもあるが、昔からの商店街が衰退し、各商店主は、苦しい生活を強いられている。たとえば、ある地方のテーラー(洋服の仕立て屋さん)を営んできた70代の男性は、以前は年間100着超のスーツ(背広)を仕立てていたが、いまや、仕立ての注文はほとんどなく、裾上げやサイズ直しばかりで、その収入は、年間わずか数十万円であるという。当然、年金暮らし(国民年金)で、さらに、介護保険料の値上げが襲い掛かり、正に、二重苦、三重苦の暮らしである。

問題点

1. 戦前に著しかった貧富格差による層の固定化再現

戦前のことを知っているわけではないが、富める層は、代々その土地々々でいつでも金持ちで、貧困層は、貧困であるがゆえに、高等教育を受けられず、従って成人して働くようになっても収入は低かった。このような実態が、つい50ないし60年くらい前には存在していたわけで、再びそのようになる可能性が現在では、否定できない状態になっているということである。

2. 企業・国家の漸次衰退化

当然のことと思うが、人は人に育てられ、人を育てていくもので、育てられ、成長した者は一家、一企業、一国を担っていく人材となり、その立場々々での責任を全うして人生を終えるのだと思う。ところが、現在の状況は、十分な人材教育を行っているとは思えない。ワーキングプアの実態どおり、次代を担う人材を育てないと、現在は東南アジアなどの低賃金労働者を使って何とか生き延びている企業も、やがては、その市場の成熟化と共に、行き場を失うことになると思う。そのときに、何とかしようと思っても、人材を育てていないから、元も子もない。

改善策

これらは、国家、企業の問題の部分が大きいため、ここでは、私たは、この問題を現実的にどうしたらいいのか、考えて見ます。問題が、急に是正されるとも考えられないので、コンピュータユニオンのような団体が、適宜発言すると共に、自らも、使い捨てされても何処でも通用する技術力、交渉力などを育み、仲間を募り、逞しく生活していくほかないと思います。

(組織部:H.O.)
 
第五回 ワーキングプア(その1) 目次 最終回 サイパン旅行で思ったこと