| 書き下ろし |
|
新聞や雑誌などで発表せずに、原稿をそのまま活字化して小説を出版する時に、「書き下ろし」という宣伝文句をつけることがある。初めて読者の目に触れる作品というわけだから、新鮮で新しいイメージを与えるもの。
この書下ろしという言葉は書き上げに対して作られたもの。書き上げとは江戸時代、事件の報告を幕府に提出した書類で、警察調書にあたるもの。お上の書類に対抗して、書き下ろしと言い始めたのは庶民向けの娯楽芝居。江戸時代の芝居の脚本の多くは「書き下ろし」と宣伝されていた。 これを小説の出版に持ち出したのが直木賞で有名な直木三十五。その後、昭和10年ごろには作家の新作に「書き下ろし」とつけるのが流行したものの、当時の人気作品は新聞や雑誌の連載もので、書き下ろしの宣伝文句はマイナスイメージになったと言われている。それが現在では立派な宣伝文句になっているというのは、時代の流れなのだろうか。 |