親の驚きを尻目に、大胆にも「体操部」に入部した息子。
創部以来の「超大型新人」といわれ、仮入部期間中に、
「倒立」をやって補助してくれた先輩を痛め付け、
自分の「腕力」のなさを自覚した息子。さっそく「鉄アレイ」を買ってやったオジサン。
その成果は如何に・・・・・・・・・・・・・・
☆★☆前回までの話☆★☆
3Kgで2700円の鉄アレイのお陰でめきめきと腕力をつけた息子。
第一段階として正統「腕立て伏せ」を見事クリア!
しかし相変わらず「スペシャルメニュー」は続く。
母親は「いじめ」ではないかと心配。
反発しながら息子の挑戦は続く・・・・・・
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「腕立て伏せ」で自信がついたのか、帰宅してくるたびに成果を披露する息子。
先日の夜は、オジサンの寝室に突如乱入し「寝室前転」ならぬ「伸膝前転」を
「見てくれ!」
と言うが早いが止める間もなく即実行。
「前転」と「でんぐり返し」が紙一重という程度の技量状態のものが
昼間の暖かな日差しを目一杯浴びた「布団」の上で「伸膝前転」を試みたらどうなるか?!
無駄な説明は必要ない。
息子の二本の太い足が伸びたまんま布団の上に落下し、
両手で一生懸命立とうとして布団をわしづかみにする。
安眠の世界へいざなうべくオジサンを待っていた布団は、あわれスルメ化してしまった。
よくよく聞くと、新入生で「伸膝前転」を上手くできるものはいないとか。
それなら、おまえができる、わけがない!
強く戒めてその晩は退却させた。
ある日の日曜日。
どうしても「倒立」をやりたいから補助してくれ! と息子が哀願。
(資金援助でなくてよかった?)
「家の中ではいけません! 外でやりなさい!」
無茶な事を言う母親。
実は、「伸膝前転」初公開の夜、1階は大変な衝撃があったと言う。
築20年の木造住宅に与える影響は、想像以上であったようだ。
母親の許可が降りなかったのでオジサンと息子は近くの小学校へ行った。
もちろん休みなので体育館は使用できない。
唯一ひとに迷惑をかけない場所が、野球のバックネット前。
下は砂地。
バックネットの枠は鉄。
これなら大丈夫。
よし! やって見ろ!
オジサンの一声で果敢に挑戦。「おりゃー!」
次の瞬間、バックネット前にうづくまっていた息子の姿があった。
砂が両手に食い込み、勢いよく振り上げた足はネットに跳ね返りあえなく自爆。
その後も「ランニング」と「柔軟」主体の練習は続く。
ある晩、遅く帰ってきた息子が
「今日は本当に泣いたよ!」
なに! 遂に先輩のいじめが始まったか!
色めきたつオジサンと息子の母親。
真実は違った。
新入生全員に「股割り柔軟」が課せられたと言う。
少々いたがる者には先輩が2人掛かりで無理矢理足を開かせた、と言う。
これが娘にだったら集団○○○じゃ!
しかし厳しい特訓のお陰か両足が開いて床に付くようになっていた。
体重は立派でもまだまだ子供の体である。
「鉄は熱いうちに打て」
「筋肉は柔らかいうちに鍛えよ」か。
先週の水曜日の夜。
遂にその時が来た。
部活では軽い補助でもう「倒立」ができるようになった、と本人は言う。
今日はどうしても見てもらいたい、ときた。
「こんな狭い台所じゃだめです!」
いつものように母親は騒ぐ。
しかし、今晩の息子の目つきはいつもとは違う。
自信に満ちているように見えた。
「よし、扉に向かってやってみろ!」
オジサンの一言で何気なく両手を付く息子。
軽く蹴った足が扉に触れる。
決して追突ではない。
おおーっ! できた!
立っている、両手で!
どこからとも聞こえてくる拍手。
沸き上がる歓声。
苦節80日余り。
この間、息子は6Kgも体重が減っていた。
ダテに練習をやっていたわけではなかった。
初めて我が息子を誉めてやりたい気持ちになった。
普通の子供ならなんでもない「補助倒立」
息子にとっては「大胆な挑戦」
程度の差こそあれ、目標に挑戦することは素晴らしい!
倒立の補助をしてくれた扉には、こう刻まれた。
『初めて両手で立った、今日は君の倒立記念日!』