| 【拉致とテロ】 |
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今年に入って「拉致」と「テロ」という言葉が新聞に載らない日はないほどである。 勿論、「拉致」は昨年の9月17日の日朝会談で明らかになった「5名の拉致生存者」 以降特に有名になり、「テロ」は2年前の9月11日の米国WTCビルでの事件以降である。 しかし、最近ではこの本質的には異なる二つの言葉がなぜか同じように使われている。 FBIの定義によれば「政治的又は社会的な目的を達成するために、政府、民間人 またはその一部に対して脅威を与え、または威圧することを企図して人間または財産に 対して非合法的な形で武力を行使すること」をテロと呼ぶそうである。 ラテン語の「脅す(terrere)」が語源とされていることから、自分たちの仕業であることを 相手に知らせて恐怖を与えることが「テロ」構成要件といえる。 そうすると、「密かに」日本人を連れ去り、20数年間も沈黙し続けていた北朝鮮の「拉致」は 確かに非合法な国家的な犯罪ではあるが「テロ」とは言えない。 それにもかかわらず、「家族会」の人たちを中心に「議員連盟」の国会議員たちが、しきりと 「拉致」は紛れもない「テロ」であると強調する真意は一体なんなのだろう。 想像するに、米国のブッシュが言った「悪の枢軸」に掲げた3国を同一視することにより、 米国への従順さをことさら振りかざしたいのであろう。 ところで、まさに戦争状態そのもののイラクで連日発生している「テロ」は、果たして本来の 「テロ」なのであろうか? 米国国防相が認めているように「戦争状態」なのであるから、戦闘行為なのである。 この状態のきっかけは、国連や国際世論を無視してイラクに攻め込み、一つの独立国を つぶした米英軍の大規模「テロ」行為からであることは高校生でもわかる話である。 米軍に対する攻撃の他に、イタリヤ、トルコといった米英侵略国を支持する国々の建物が 狙われ、遂には日本の外交官までが殺されるという事態にまで発展している。 質量ともに世界一を誇る圧倒的な強さの米軍に侵略された国は、一体どのように対抗すれ ばよいのか。過去の歴史を紐解けば、「帝国の侵略」に対する「レジスタンス」しかない。 「アルジェの戦い」やベトナムでの解放戦線の戦いは当時、「テロ」などとは決していわれなかった。 それらの国での侵略者の末路はどうなったのかは、中学生でもわかる歴史である。 残念ながら、我が日本も今後不名誉な歴史の一ページに記載されるかもしれない。 「戦争状態」で殺された「外務省の役人」は、すでに立派な「戦死者」となってしまった。 自衛隊派兵の時期を論じている間にも、民間の「戦死者」が増えるかもしれない。 こうなったらもはや日本の首相の責任は免れない。 <2003.12.7>
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