オジサンのつぶやき
   【食育基本法】


オジサン! よくわかんないですが「食育基本法」って法律ができたんですって?
ほう、若いのによくそんなことを知っていたね。
いや、学校のサークルで「教育基本法」の勉強をしていたもんで・・・
オイオイ、一字違いでも大分違うぜ、お前さんのいっていることは。
いや、ちゃんと知ってますよ。
「食育」というスローガンの下、国や地方公共団体が個人の食生活に介入することでしょう
おお、そこまで知っているんだったらオジサンと話ができそうだな。
この法律は6月10日、参議院本会議で採決され、賛成多数で可決・成立したんだ。
そもそもどんな法律なんですか?
いいかい、チョット難しいがよ〜く聴けよ。
「食育基本法」とは、要するに「健全な心と身体を培い、豊かな人間性を育むことにより、
健康で文化的な国民生活と豊かで活力ある社会を実現する」ことを目的に、
「食育」を推進するために内閣府に「食育推進会議」を設置し、「食育推進基本計画」を作成する。
一方、、都道府県、市町村でも「食育推進会議」を設置して地域に適した
「食育推進計画」を作成・実践するというものなんだよ。
「推進会議」や「基本計画」やら、なんだか面倒くさそうですね。
国の役人って言うのは、お上が「基本計画」を作り、その内容に従い地方に実施させると思っているんだ。
それって、本当に国民のためになるんですか?
問題はそこにあるんだ。
この法律は、前文と4章(全33条)および附則から成り立っているんだ。
「目的」「運動の展開」「保護者、教育関係者の役割」「活動の実践」を中心として、
国民の「責務」についてまで述べているんだ。
なんか、胡散臭い法律ですね。国がそこまでやるのっていう感じですよね。
そうなんだ、異常に長い前文には、おかしなことが一杯書かれているんだ。
たとえば「21世紀における我が国の発展のためには・・」って一体なんだと思うかね。
うがった見方をすれば「国連安保理の常任理事国」になったり、アジアの覇者になったり・・
そう考える人も決して少なくは無いのさ。
また、さらにこう前文には書いてあるんだ。
「国民の食生活においては、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、
過度の痩身志向などの問題に加え、あらたな『食』の安全の問題や、
『食』の海外への依存の問題が生じており、『食』に関する情報が社会に氾濫する・・」
ちょっと待ってくださいよ、オジサン。
その前文に羅列されている現象は、健康で文化的な国民生活を保障すべき憲法25条の、
「国の社会的責任」が果たされていないからではないですか。
おお、よく気がついたね。まさにその通りなんだよ。
この法律は、国が憲法を守っていないことを自ら認めているようなものなのさ。
それを、あたかも個人の責務であるかのように基本法などに定めることは、
完全な国の「責任逃れ」と言われても仕方がないことなんだよ。
やっぱ、国ってずるいですね。
ずるいところはもっとあるんだ。
「地域の多様性と豊かな味覚や文化の香りあふれる日本の『食』が失われる危機にある」
とぬけぬけと言う。冗談いっちゃいけね〜よ、なんて大声で言いたくなるんだ。
たとえば、国鉄を民営化して赤字路線を廃業、規制緩和で大規模店を郊外に展開させた結果、
全国の駅前商店街がシャッター通りと言われるように、軒並み閉店に追いこまれてきた。
まさに地域の特色を殺してしまった張本人たちが「地域の多様性が」「失われる危機にある」
と嘯いているんだ。まさに茶番に等しいことなんだ。
こういうのを昔から「マッチ・ポンプ」って言ってたような・・・・・。
実はこの「食育基本法」は昨年の第159回通常国会に議員立法の形で、参議院に提出されたんだ。
ところが年金問題で国会が大荒れとなり会期末を迎え衆議院に出しなおされ継続審議になったものなんだ。
へえー、それじゃ突然出てきた法律じゃなかったんですか。
継続審議になった後、政府・与党は、2004年7月の参議院選挙に向けて積極的に、
「食育」を喧伝するようになったのだよ。
当然、農民票目当てなのだが、農政の行き詰まりを「食育」でごまかし、「食育基本法」が
あたかも日本の農業を救うという論理で参院選挙を戦ったというわけさ。
なんでも、過疎地の1票は都会の3〜5票に相当するって話しを聞いたことがありますよ。
この「食育基本法」の真の狙いは、食品産業の農業進出と給食市場への積極的な関与を
促すことにあるんだよ。
そんなことはどうして判るんですか?
それは条文の第12条の露骨に明記されているんだ。あとでHPをよく読みなさい。
自民党農水族の支持基盤である農民票の国内農産物の生産額は約9兆円、
食品産業の市場規模はいまや83兆円、どちらを支持基盤にするかは明白になっているんだ。
それは明らかな選挙対策ってことですか。なんかセコイ話しですね・・・。
ところで、「食育」の '三本柱'としてあげられるのが「地産地消」「スローフード」
そして「有機」があげられるということは知っていたかい。
ちょっとだけ知っていますよ。
「地産地消」は、地元で生産されたものを地元で消費するってことですよね。
言うは易く、ってとこかな。例えば学校給食の食材に占める地元産の割合は、
全国平均で20%、最低は東京の1%、北海道で51%という調査結果があるんだ。
ということは、日本全国が北海道並の農業国になっても、わずか50%程度の自給と言うことですか。
そうなんだよ。そして「スローフード」や「有機」にしても、食育にとって最も必要な子育て世代の
若年層の所得が一部を除いて低落している現状では、いまや特権階級の「食」になってしまっている。
要するに、「食育基本法」は、マスメディアも含めて生活実感に乏しい人々が、自己利益追求のために
動いた結果の代物といえるかも知れないな。

<2005.7.31>



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