紙幣の肖像画
夏目漱石や福沢諭吉、新渡戸稲造などの日本の紙幣だけではなく、海外の紙幣にも肖像画が採用されているものというのは非常に多い。肖像画が描かれる一番の理由は偽札の防止。真似して描いたとしても、ほんのちょっとの違いに違和感を覚え、気付きやすいのが肖像画。そのほか、デザイン的に肖像画を入れると全体が引き締まるとか、その国を代表する人物を描いて親愛感を持たせるといった理由もある。
とくに、イギリスやタイなどの君主国では、国民の国王に対する敬愛を表すため、王や王妃の肖像を描くことが多い。また、政府の権力者の肖像を描いて、権力を誇示する場合もある。日本の場合のように、昔の人物の肖像を用いる場合だと、40〜50代の写真や肖像画を参考にするのが一般的だが、王や王妃の肖像だと、生きている人物だから、10〜20年間隔で紙幣を改定するのだという。
中国の場合、個人崇拝を否定するという考え方から、不特定多数の人物や民族を描いている。この場合も、「偽札防止」という観点から見れば、同じような効果がある。また、世界には人物を描かないという国もある。イスラム教国では宗教上の理由に偶像崇拝がタブーになっているため、建物や風景などが用いられる。
日本の場合、紙幣の肖像画として採用される人は偽造しにくい顔の人。具体的には、しわや口ひげ、あごひげなどがあって、なるべく細かい線で表現できる人。男性の肖像が多いのは男性の地位、という問題だけではなく、女性のほうがしわがなくて平坦で輪郭だけで表現することになるから、という理由もある。


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