オジサンのつぶやき
   【テレビが無くなる日】

昔の日本の茶の間というか食事部屋には、丸いテーブルがあった。
語源はいろいろあるようだが「ちゃぶ台」と呼ばれていた記憶がある。
ものの本によると、明治中期から大正期に、家族が1つの「ちゃぶ台」を
囲んで食事をするようになったという。
じつはこの「ちゃぶ台」にも丸形と角形があり、「卓袱台」という呼び名も
あることから、長崎生まれの卓袱料理に使った座卓が転用されたとも言われている。
明治24年には特許をとった丸い天板の「足折り畳み式座卓」があったそうで
「ちゃぶ台」の正式デビューはこの頃らしい。
ところでこの「ちゃぶ台」は「丸形」であるため家族がお互い向かい合って食事を
するというスタイルが、家族団欒の構図であった。
部屋の奥を背にして「大黒柱」の前に家長が座る。一般的には父親であった。
そしてその左隣に母親。
きっと父親が左手でご飯茶碗を差し出す時の位置関係からかもしれない。
もっとも、父親から見て、右側に台所が続いているような部屋の作りの場合は
母親は父親の右隣に座っていた。・・・・昔は。
そのような家庭の風景をガラッと変えたのがテレビの登場であった。
オジサンの小学校時代は、お金持ちの家にしかテレビは存在せず夕食時にテレビを見せてもらいながら、
その家で一緒に夕飯を食べて帰ってくるなんていう、牧歌的な生活であった。
当然、高価なテレビであるゆえに、部屋の一番良い場所を占領するようになる。
すなわち、いままで「ちゃぶ台」に座る父親の位置あたりが、テレビ様の定位置となる。
一般家庭に普及するにつれて、テレビは常に部屋の壁際に置かれるため、
その位置の「ちゃぶ台」の場所は誰も座れなくなり、角形のテーブルの場合は、
一つの辺が完全に死角となり、それにより家族の食事はテレビが中心の食事となり
お互いに顔を合わすことなく、テレビ画面を見ながらの会話となってしまった。

このようなテレビ放送はアナログ方式と呼ばれる。
この方式は地上の各テレビ局の専用発信塔から各家庭のアンテナに送られる。
既に数年前からは、人工衛星を使ったディジタル放送が開始されていた。
このディジタル放送によって「多チャネル時代」に突入したと当時はいわれたものである。
そして今年の12月1日に「地上放送のディジタル化」が一部の地域で開始されたのである。
それも東京・大阪・名古屋のほんの一部の地域だけであり、日本の複雑な地形から、
様々な技術的な難問が山積しているのが実体らしい。
既にBS放送を契約して受信している家庭は、専用のチューナーが必要であることは
容易に想像できるが、現在、総務省が8年後の2011年には現在のアナログ放送を
打ち切ってディジタル放送のみにするという計画を推進していることにより、現在のテレビに
専用のチューナーを取り付けなければディジタル放送のテレビを見ることができなくなるなんて
フツーの人には想像できない。
この計画が実現すれば普通に家庭で視聴している地上アナログ放送の電波が完全に止まってしまい
今のテレビでは放送を見ることができなくなってしまうという。
これは、大変だ! 一大事だ、と様々な方面で反対の運動が起きている。
しかし、よく考えてみよう。
今のテレビはそんなに大切なのかと。
かつての家庭の団欒と父親の場所を奪ったテレビが、ヒョットすると「ただの箱」になるとすれば
失われていた大切なものが帰ってくるかもしれない、などと考えてしまうのはオジサンだけだろうか?

<2003.12.21>



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