| 【とりあえず】 |
|
「取るべきものをじゅうぶんに取らずに」 「第一番にさしあたって」 手元にある辞書にこのように説明されている。 よく巷の居酒屋で聞かれる会話として、 「いらっしゃいませ!お飲み物は何になさいますか?」 「それじゃ、とりあえずビール!」 というのがある。 これに関してはオジサンは二つ文句がある。 第一は、注文する客に対してである。 『とりあえずビール』という名前のビールなんか存在しない。 もっともこれに関しては数年前某社から一時的に販売されたことがあったと記憶している。 要するに何に文句があるかといえば、これからアルコール類を飲むのに、 「第一番にさしあたって、ビールを飲む」ということを言っているのだが、 そのビールの銘柄は何でも良いよという客の態度である。 酒屋でビールを買う時には「○△ビール」と銘柄指定する人も なぜか居酒屋ではおとなしくその店にあるビールを文句も言わずに飲む。 若い時のオジサンはいつも文句を言っていたんだが・・・・・・。 まあ、「目隠しテスト」の結果、ビール会社の社員ですら自社のビールを当てることが できなかったという恥ずかしい結果があるくらいだからフツーの人は謂わずもがなであろう。 第二は、注文される店に対してである。 日本の居酒屋はほとんどの店が特定ビール会社に占拠されている。 未だかつて居酒屋などに入って店員から、 「ビールは何にしますか?」 と聞かれたことはない。 「アサヒドライある?」 「申し訳有りません。アサヒはあいにく切らしていますが 今日はサントリーの活きのよいビールが入荷しております」 なんていう会話は残念ながら今後100年経っても聞くことはないだろう。 これほど客をバカにした話はない。 ビールも最近はやっている「地酒」並みに各種メーカーの銘柄が同居する日はいつになるのだろう。 先日、とあるスーパーにあるパン屋さんでこんな会話を耳にした。 「アンドーナツにクロワッサンを5個頂戴」 「はい、ありがとうございます。以上で宜しいですか?」 「そうね、とりあえずそれだけでいいわ」 どうやら世の中ではこの言葉は少々違った意味に使われているようだ。 本来の意味からいえば「とりあえず、それだけでいいけれども、後でまた来るわね」 なんていう会話が続く場合に『とりあえず』が使われるのだろう。 しかしこのパン屋さんでの会話は、奥さん(らしい人)が、 「本当はもっと買いたかったけど今日のところは他に買い物しちゃったのでいいわ」 という意味が込められいるのだ。 いわれたパン屋さんの方も、明日また来てくれるかもしれないな〜という気持ちになり この場はそれでお互いに納得して別れるのかもしれない。 おそらく無意識の内にこの言葉によって余韻の残る潤いのある会話が成立しているのかも知れない。 とりあえず、今回のつぶやきはここまで! <2003.5.18> |