オジサンのつぶやき
   【靖国問題】

最近マスメディアは8月上旬に参議院で採決される「郵政関連法案」の採否問題で
にぎわっている。
残念ながら、法案の内容詳細を解説するという本来の使命を放棄して、自民党の
造反議員の票読みに余念がない。
たしかに「18名」の議員が自民党から反対・棄権に廻れば法案は否決廃案となる。
だからといって週刊誌並の論調では読者に本質を覆い隠す結果となる。
この郵政関連法案の去就に世間の耳目が集められているうちに、メディアからは
隠れてしまった小泉首相の「靖国参拝問題」が突然浮上するかもしれない。
採決結果によれば、「真夏の解散・総選挙」の可能性を否定できない状態なので
その混乱の隙をついて終戦記念日に「参拝」するのでは、と噂されている。
そういう意味では一見不安定な情勢ではあるが、「靖国問題」を、単に、
小泉首相が参拝するかしないかという問題に矮小しないで、そもそも靖国神社とは
一体何なのかということを改めておさらいしてみたい。
*
「靖国神社こそ、戦後60年間、我々日本人が維持してきた平和の気持ちを
 新たにする『和』の作用の場である」という俗論がある。
戦前は軍が管理し、戦後は宗教法人となったが一貫して皇国史観と侵略賛美の
政治的宗教的施設としてあり続けている「侵略神社」が靖国神社の実体である。
敷地内に「遊就館」という付属軍事博物館がある。
ここには、軍歌が流れ、戦前の兵器や軍人の写真、及びそれに関する解説がある。
その解説には「アジアへの侵略戦争はやむにやまれず平和のために行った」とある。
「平和」という語が強調されているが、その使われ方に問題が潜んでいる。
誰にとっての「平和」なのか、という観点からみれば、靖国神社の思想上は、
「天皇に逆らう者がいない状態」ということになる。
過去の歴史を紐解けば、戊辰戦争で函館の五稜郭の戦いから、後の西南戦争に至る
国内の内乱状態を鎮圧し、「平和」にしたのである。
国外に目を向ければ、周囲の国が日本を脅かすかもしれないと勝手に考えて、台湾や
朝鮮へ出兵する。
さらに中国を「日本の生命線」と勝手に決めて、最後は東南アジアにまで侵略して行く。
最終的に全部をひっくるめて「大東亜共栄圏」と呼び、全部日本の勢力範囲に治め、
天皇に文句を言ったり逆らう者がいなくなったら「天皇の平和」になる、というのが
靖国神社の思想なのである。
*
「戦犯という烙印を押されたのも、勝者が敗者に下した制裁行為であり、少なくとも
 私利私欲のみで彼らが日本を戦争へと導いたとは考えられないからだ。
 しかもすでに死をもって贖っている」という俗論もある。
これは靖国神社にA級戦犯が合祀されている問題の論議の中でよく言われる。
「死をもって贖っている」から合祀されていようが問題はないというのであろうか。
A級戦犯とは東条英機のことである。
昭和16年1月、陸軍省は「戦陣訓」を作成し軍人に守らせた。
もちろんその最高責任者は東条英機であり、「本訓 其の二 第八 『名を惜しむ』」に
こう書かれている。
「恥を知る者は強し。常に郷党家門の面目を思ひ、愈々奮励して其の期待に答ふべし。
 生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ。」と。
このために、一体何人の兵士が無駄死にしたことか、計り知れないのである。
沖縄やサイパンでの悲劇を持ち出すまでも無い。
ところがその東条英機は、自殺に失敗して生きて虜囚の辱めを受けたのである。
自分が発した命令を自分が破って、多くに人を自決に追いやったことになる。
東京裁判を云々言う前に、「道義」の問題では東条英機は明らかなA級戦犯であった。
こんな人間が合祀されている靖国神社に、それでも参拝をつづけるのか、小泉首相は!

<2005.7.14>



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