足元を見つめなおし、固める時

MIC 議長 今井一雄


 今年は、昨年以上に重苦しく、不愉快で、つらい一年になるのではないでしょうか。 社会とか経済の活動が行き詰まり、あちこちに腐敗が広がると、この仕組みというのは簡単に崩れはじめ、そして多くの労働者が巷に放り出されます。放り出された労働者は、さてどこに自分の座標軸を求めるのでしょうか。再就職の道も困難な、去る証券会社の高齢社員は自らを取り巻く家庭、地域、社会のどこに位置するのか戸惑わないでしょうか。 なにが起きても不思議ではないという、ある種の不安に満ちた日本の国は、一体どこへ向かって航海しているのでしょうか。私たち乗客にそれがわかっているのでしょうか。 立て続けに起きる倒産劇を見ながら、それが人ごとでなくなってきたことを、私は実感しています。 こうした状況下、MICとして、自らの寄って立つ機軸をもっと明確、厳密に定めることが求められているように、私には思えます。そしてその機軸は、それ自体が日本の行方を、あるいは日本のあり方を示唆するものであらねばならないと、私には思えます。民主主義や自由や人権の尊重と全く逆の現実が、ますます幅を利かすことのないように、今年はしっかりと活動 していきたいものです。何とか、チャンスを掴んで反転攻勢に出ようではありませんか。皆さんのご健闘とご健康を祈ります。


争議解決に全力を挙げる

MIC副議長 小林 享(新聞労連副委員長)


 1月9日、目覚めると宇都宮の自宅はスッポリと雪に埋まっていた。水道橋の新聞労連本部への「通勤」をあきらめ、午前中いっぱいかけ雪かきで汗を流した。 午後になっても新聞が届かない。午後3時ごろやっと到着。徒歩で配達していたらしい。新聞は家庭に届いてこそその価値が生きるという当たり前のことを痛感した。 再販がなくなれば、宅配制度そのもの存続も危なくなる。再販撤廃阻止運動に新聞労連はじめMICの仲間が一丸となり取り組んだ結果、結論先延ばしの成果を勝ち取った。しかし、この結果に納得しない勢力が存在することも事実だ。私たちは、景品緩和を許さず販売正常化の実現とジャーナリズムの強化に邁進することでしか、再販を守るとともに読者の信頼回復はあり得ないとの思いを強くしている。 新聞労連内部の問題では、今年中に岳南朝日労組とロイター労組(豊田さんの解雇と不当労働行為)の2つの争議解決のための最大の結集を図る。労働者にとって「死刑宣告」にも等しい解雇を許すことは、新聞労連の存在そのものをも否定することになる。今年を「争議解決元年」と位置付けて、争議を闘う仲間を支える運動をこれまで以上に盛りあげていく。先輩が 築いてきた「新聞労連は争議は絶対に負けない」を胸に刻みながら、今年一年たたかいぬこう。


臥薪嘗胆・ゴマメの歯ぎしり

MIC副議長 碓井邦夫(全印総連委員長)


 私たちにとって、97年は振り返らずにはいられない1年になりました。バブル経済が崩壊した後の様々な出来事は、国民の大多数にとって、政治とは? 経済とは? の価値観を大混乱させるものであったと考えます。日本の文化やジャーナリズムのそれぞれの分野で働いている者にとって、まさに価値観の転換を迫られる状況にあると思います。というのも、このまま適当にやっていれば嵐が過ぎ去るなどとは思えない事態が、次々と起きてくるからです。大失業時代、大競争時代だとする資本の論理もまた、その時々に新たな装いを持って私たちを惑わそうとしてきます。経済危機をきっかけにしたファシズムの台頭もまた、歴史的に証明済みの出来事です。日本を対米従属の軍事国家に導く「新ガイドライン」も、民主主義の息の根を止める悪法を伴って強行されようとしています。 ここで「初夢が覚めた」というオチを付けるほど酔狂ではありませんが、そうだったらいいなと思うのは私だけではないでしょう。中條百合子(だったか)の小説『道標』の一節に「日本よい国花の国、7月8月灰の国、9月10月よその国」という歌がはやった敗戦直後の情景が書かれています。それを望む人は少 ないと思いますが、もう一度「地獄絵図」を見ずとも、国民的規模で怒りの大爆発を起こし、消費税廃止、30兆円減税、大幅賃上げ実現で景気が回復したーというのが私の正夢です。


「なかま」を信じることから

MIC副議長 岩 崎 貞 明(民放労連委員長)


 97年は、これまで信じていたものがいろいろと崩れ去った年でした。幸せそうにみえる家庭で育った子供が身も凍るような残虐な犯罪に手を染めたり、総会屋への利益供与で日本を代表する企業のトップが次々と辞任したり、優秀であるはずの官僚が古典的な接待に溺れたり・・・。特に山一證券をはじめとする大企業の経営破綻は、「寄らば大樹の陰」と考えがちな私たちには大きな衝撃でした。こういった雰囲気に乗じて、企業の経営者は「これからは自己責任の時代」と吹聴し、労働者を競争の荒波に放り出しておいて利益だけは確保することに汲々としているようです。そんな時代に、私たちはどうすればいいのか?「信じられるのは自分だけ」とばかりに、荒波の中に飛び出していかなければならないのでしょうか。何も信じられないような時代だからこそ、「なかま」を信じることからもう一度始めてみませんか。同じ悩み、同じ怒り、同じ喜びをもつ「なかま」が、きっと身近にいるはずです。あらゆる難局にも「なかま」と語り合って、慰めあったり励ましあったりしてゆけば、世界の見え方も、問題の解決方法も違ってくると思います。 放送界はデジタル・多チャンネル時代に入り、パ ーフェクTVとJスカイBが対等合併を発表するなど、大資本も合従連衡を模索する混沌とした状況になってきました。民放労連は「視聴者のための放送」という原点を見つめながら、より幅広い「なかま」の結集と連帯を求めていきたいと考えています。


職場から労働法制改悪反対のたたかいを!

瀬間 勉(出版労連書記長)


 98年の年初にあたり、今年を見通してみると大変重たい社会状況や出版状況が横たわっています。底知れぬ不況の中で、新ガイドライン及びこの体制整備のための国内法の改悪、労働基準法をはじめとする労働法制の改悪、社会保障制度の再改悪など一市民としてまた働く者にとって重大な影響を及ぼす法案が次々に改悪されようとしています。 特に労働法制の改悪は、直接働く者に影響を与え、同時に各組合の労使関係にも一つの流れを作っていきます。今でも出版の職場には、様々な雇用形態や派遣労働者が存在しています。これ以上職場と産業の状況を悪くすることは、出版の質と労働条件の低下や長時間・過密労働の強化に必ず結びつきます。労働者の最低の条件まで規制緩和の方向を打ち出しています。著作物の再販制も最後の段階きています。 このような中で、出版産業も一層厳しさを増しています。版元は、自転車操業のところが多く、流通は寡占化がすすみ、小売書店は大型店により中小書店の転廃業が多くなっています。本は売れていません。 出版労連の98春闘は、この様な中でのたたかいになります。従ってより一層、職場を基礎に産業別統一闘争に結集して、力を合わせて取 り組みたいと思っています。その課題の第一は、再販制の堅持の運動、教科書の運動の前進です。第二は、賃金の向上です。要求基準は、三五歳定昇込み二万円以上として取り組みます。第三は、労働法制改悪反対の取り組みを強化します。第四は、組織の強化・拡大の取り組みを強めることにします。


日本映画に公的助成を!

MIC副議長 木村立哉(映演共闘議長)


 97年は、ピークといわれた60年以来、日本映画がこれほど評価され、人を引きつけたことはなかったのではないでしょうか。『もののけ姫』が15年ぶりにアメリカ映画を含めた日本での興行記録を大幅に更新し、『エヴァンゲリオン』『失楽園』は、世代別の支持を得て大ヒットしました。また、『うなぎ』、『HANA―BI』は、それぞれカンヌとヴェネチアとでグランプリを、『萌の朱雀』はカンヌでカメラ・ドールを得るなど、海外で非常に高い評価を得ることができました。しかし、これら超ヒット作も批評的評価の高い映画も、既成の映画資本の中から生まれたものなど一つもありません。いずれも低予算による過酷な条件で作られたインディペンデント作家たちの個人的な努力によるものだといえます。大作『もののけ姫』も、つきつめてみれば同様です。宮崎駿監督をはじめとして、ここに結集するスタッフが存在することじたい、個人的な努力によるものです。通常は劣悪な製作環境にあるテレビ・アニメーションで生活しているスタッフが廃業せず、生き残ってきたからなのです。年間の映画館入場人員は、おそらく1.5億人近くとなり、大幅な増加となるでしょうが、これもか ってイギリスがそうであったように、アメリカ映画中心のマルチプレックス・シアターの全国都市への大量進出による底上げが大きいのです。これも流通資本、外資系興業資本によるもの。これでは、私たちの生活基盤である映画産業も日本映画という文化も、衰退していく一方ではないでしょうか。個人の努力だけに依拠した製作体制は、非常にもろいものです。私たちが職能団体などと議論を重ねてきた「提案・日本映画振興基金」を今年は発表します。映画の充実を真に私たち国民の文化的充実にするために必要なのは、諸外国の例を見るまでもなく公的助成です。ちっぽけな私ではありますが、基金実現のためには、全力を尽くしたいと思っています。


体を動かしつつ、考えるMIC副議長

徳山賢二(広告労協議長)


 私にとって40数回目の98新年は、広告労協議長として迎える最初の新年であります。広告労協加盟の60余の組合は、その組織人数をとっても上は2千人以上から2人組合まで落差があり、賃金をはじめとして現実の労働条件・環境、業務の内容もまた千差万別です。一方で個々人の労働組合に対する期待度の希薄さは、その組織率の低調さに具現化されていて、ましてや各労組の広告労協に対する期待度は甚だ心許ないものがあります。 正直言って私は、労働組合活動の必要性を広告マン・ウーマン一人一人に具体的に明言する力量を持っておりません。しかし一方で、その不必要性を明確に突きつけられたこともありません。というわけで議長として、MIC各単産と連帯しつつ、一年間広告労協を切り盛りしていくこととなります. @広告労組は加盟60組合になにができるのか―規模別、業態別、組合員個々の年齢・職種・性別等々の様々な切り口で、共通課題を見つけ、一組合単独では成し得ない組合運動を展開します。すなわち“場の提供”です。 A広告労協がMIC各単産と交流していくということ―広告産業は、広告そのものの由し入れを通し、また催事の企画実施、印刷物、調査 、著作権問題を通して、MIC各単産と幅広く関わりがあります。今年まはさらに広くタイアップ活動ができればと思います。 労働組合の存在意義は何なのか、体を動かしねがら見つけていきたいと思います。


新事務所で、新たなたたかいを

MIC副議長 崎元 譲(日本音楽家ユニオン代表運営委員)


 昨年は社会的にも経済的にも非常に暗い感じの年でした。払たち音楽家はこの数年の不況の影響で、特にフリーの演奏家は非常に厳しい経済状態におかれています。特にスタジオでの仕事では生音楽の数が減って危機感を持っています。また昨年から引き続き再版制の維持に関しては皆さんと一層の協力と団結で守っていく覚悟でおります。 昨年東京都が都の文化施設の値上げ案を発表しました。現在の倍近くの値上げは認められるものではありません。私たち音楽家ユニオンはもちろんほとんどの音楽団体が反対の著名運動をとりくみました. 昨年10月に初台(渋谷区)にオープンした新国立劇場は、多くの問題を残しています。私たちがこの計画の最初から主張していたオーケストラの専属はおかず、合唱団はできたものの専属という名にはほど遠い状況にあります。今後とも私たちの主張を粘り強くしていこうとおもっています。 さて私たち音楽家ユニオンの全国本部と関東地方本部は、長年住み慣れた渋谷から目白へ事務所を移転しました。JR目白駅から徒歩7分の10階建てのビルの9階のフロアーで見晴らしも大変よいところです。最後になりましたが、昨年から引き続いているオール スタッフの争議については皆さんの暖かい支援を受けています。心からお礼を申し上げます。今年もよろしくお願いします。


美しき「タペストリ」を目指して

小林寛志(電算労議長)


 バブル崩壊後の不況にも負けず、幸いにも電算労傘下の組合からは「倒産」という文字は縁遠いものになっています。「人が唯一の資産」といわれる私たちの業界では、人さえ減らせば倒産だけは免れる、といった職種の特異性かもしれません。日本の組織労働者の組織率は限りなく減り続け、もはや20%すれすれになっています。組織内に留まっていては労働組合の将来ははなはだ心細いものがあります。すばらしい運動を実践しているMICの大さな弱点は「未組織労働者への組織的な取り組みである」といわれてからずいぷんと時がたちました。産別組織の縦割りであるが故の弱点です。 電算労の仲間は、ありとあらゆる業種でコンピュータを扱っています。MICの各単産の下にもたくさんの未組織の仲間がいます。電算労はそのような仲間をMICの単産という「縦糸」の中で職能という「横糸」によって織りなしてみたいと考えています。そして、コンピュータ以外の様々な職種によってたくさんの「横糸」が織り込められたとき、MICは名実ともに我が国最初の唯一のタペストリ(つづれ織り)の労働組合に発展していることでしょう。こんな初夢が正夢になるよう私は今年もいい汗を流 してみたい。


国会に上程された「労働法制改悪法案」を阻止し、
「人間らしく生き働くための権利とルールの確立を」!

労働法制改悪反対1.28中央総決起集会


 労働法制中央連絡会、「女子保護」・均等法中央連絡会が主催した総決起集会が1月28日、教育会館で開催された。1月26日に、中央労働基準審議会が労働大臣に答申した「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」を答申したことに抗議する900人の参加者で会場が埋まった。各界からの職場報告をうけた後、熊谷事務局長が今後の行動提起−現行の労働基準法そのものの学習広げる、学習、宣伝、署名行動を活発に行おうこと−をよびかけました。 また、この中央総決起集会に先立ち、1月28日の午後、「全国代表者会議」を開き、全国各地での労働法制改悪反対運動の活動報告と経験交流を行い、MICの今井議長(中央連絡会代表委員)が、閉会のあいさつで締めくくりました。


働く者の声を国会へ


 日本労働弁護団主催の「労働法制の規制緩和は許されるか?2.14対話集会」が2月14日(土)午後、千代田公会堂で開かれた。主催社を代表して宮里邦雄・労働弁護団副会長は「戦後50年働く者を法律的に保護してきた労働基準法の改悪案が、国会に上程された。この全面改悪を許すのか、ストップをすることができるのか、今、重大な山場に立っている。この集会で報告されるような職場の実態を国会に、働く者の要求を国家へ届けよう」とよびかけた。中基審委員の連合代表から決意表明を受けた後、ゼンセン同盟、全労連、全労協の代表がそれぞれあいさつされた。徳住幹事長が「労働法制はどのように変えられようとしているか、その内容と問題点」について解説をされて、労働法制改悪が実施されようとしている裁量労働、変形労働、有期雇用など10人の各分野にわたる職場の報告がなされた。民主、共産、社民、新社会の政党代表も駆けつけ、国会でがんばる決意のあいさつを行った。


MIC争議団、泊まり込みで対策会議


 94年以来、4年ぶりにMICの争議団・単産代表(22人)が参加する泊まり込み会議が行われた。2月15、16日の両日金沢八景で実施された争議団会議は、いま大事な局面を迎えた重点争議の東陽社のたたかいの現状と勝利の展望をどう切り開くか、と4月10日の争議団支援総行動をどう展開するか、を中心 明朝 議題に松井繁明弁護士を囲んで「現在の労働員会、裁判所の動向と全面解決交渉―和解をどう活用するか」の学習会・経験交流を行った。松井弁護士の具体例に基づく命令や判決の特徴や問題点と解決交渉に移る諸条件の問題提起は、それぞれの争議団の今後のたたかいに大きな示唆を与えるものとなった。 新聞労連、岳南朝日労組の片岡書記長も遠く富士宮市から初参加をした。昨年に続いて、来る3月28日の新聞労連の行動にあわせて、MIC各単産からも代表を送り、支援行動を強化しようとの確認をした。


MIC98春闘統一行動

3月16日(月)  6時開場   カンダパンセ   MIC98春闘総決起集会
3月17日(火) 都内駅頭 労働法制改悪反対リーフ配布
4月10日(金) 一日行動 MIC争議支援総行動
18時半 夜の銀座デモ