労働基準法改悪法案、衆議院労働委で審議開始
国会内外の闘争を強化して、廃案をめざそう!

 今国会の重要法案の一つである労基法の改悪法案の趣旨説明が4月21日に、衆議院本会議で行われた。政府自民党の当初のシナリオでは、4月9日に趣旨説明をおこない4月中に衆議院を通過させて、5月下旬には参議院をも通してしまうものであった。2週間遅れとなったものの、我々がこの法案の危険性を全労働者のみならず、多くの国民の間に広げて阻止するための運動をしなければ、21世紀に働く者に大きな禍根を残すことになろう。参議院選挙を控えて限られた日数の中、MIC各単産、単組でも職場・地域からの署名を大至急で集約し、国会に届けつつ、議員要請を強めよう。


3月17日、都内朝ビラ


 MICとしての労働法制改悪反対の第1次一斉行動は、3月17日、出版を始め各単産が都内の駅を決めて、MIC・純中立懇で共同作成した『これは大変! 労働法制大改悪』のリーフ(2面参照)を約1万1千枚(161人、12駅)を配布した。

4月17日、MIC、純中立懇談会第2次一斉行動


 前回は、それぞれで行った駅頭配布を霞ヶ関に集中して実施した。この日はあいにくの雨にも関わらず、MIC、純中立の組合から67名が参加して3,000枚のリーフを配布。我々以外にも国公労連・公務共闘の人たちが、数台の宣伝カーを繰り出して「国民生活を大事にする行財政改革」「諸悪の根源大蔵省を国民のための大蔵省へ」を霞ヶ関一帯で大宣伝行動を行った。12時からは労働省・厚生省前の集会があり、集まった2000人を前に今井MIC議長が連帯のあいさつを行い、別の隊列は日比谷公園から国会請願デモに向けて出発した。一方、衆院面会所では、全国から集まった代表たちが労基法改悪法案をめぐる国会状況を聞いて、議員要請行動を行った(500人)。午前・午後の行動は、2時からの「許すな悪政!4.17国民総決起集会」明治公園へと引き継がれた。朝から降り止まぬ雨の中、1万人の熱気で集会は盛り上がり、MICを代表して碓井副議長(全印総連委員長)が「反労働者的な労働行政を許さず、5400万労働者の基本的人権・権利を政府の責任で守らせるために、労働法制改悪を阻止しよう」との力強い決意表明を行った。
 なお、この日は東京のみならず、全国各地で様々な集会、行動があり、MIC関係では、札幌、京都、大阪、徳島で労働法制改悪反対のリーフが配布された。(沖縄、宮崎、福岡、北九州、仙台でもすでに実施、あるいは予定されている)


4月22日、衆議院面会所


 衆議院本会議から一夜あけた22日、この日の早朝衆議院労働委員会でも趣旨説明がなされた重大局面を受けて、11回目の国会議員要請行動が行われた。今野弁護士の主催者挨拶の後、前日の国会本会議を傍聴した中央連絡会の代表が「各野党は代表質問でそれぞれ労働基準法の改悪、暴挙、撤回要求がされた」ことを報告。
 この日全国から代表が上京、9500の署名を持参した純中立懇・全農協労連の斎藤委員長が決意表明をおこなった。


4月23日、中央総決起集会

 衆議院で審議が始まった後の初めての中央総決起集会が、日比谷野外音楽堂で開かれた。集会の司会はMICの井戸さん(民放労連)と小島さん(新婦人)が担当。
 国会報告を受けた後、全労協の中岡副議長から連帯の挨拶、派遣労働ネットワークの中野代表、中央労働基準審議会の三木委員、日本労働弁護団の徳住幹事長からのメッセージが紹介された。続いて労働法制改悪とたたかう産別・団体・地方連絡会の決意表明を受けた後、「労働基準法改悪案の撤回を政府に、国会には廃案を求め、同時に99年4月からとされる女子保護規定の撤廃について深夜・休日・残業の男女共通規制ができるまで、実施時期の延期を要求して、〜すべての労働者・国民がともにたたかいに立ち上がることをよびかける」との集会アピールを採択。
 最後にMICを代表して瀬間出版労連書記長の閉会挨拶と団結ガンバローを唱和して、国会へのデモ行進をおこなった。(印刷、民放、出版、映画などから多数の参加があり、全体では1600人)


5月13日(水)   中央総行動 昼国会請願デモ、議員要請、
             6時半 総決起集会 日比谷野外音楽堂
5月20日(水)   中央総行動 上記と同内容
5月13日〜20日 国会前座り込み
6月 4日(木)   
中央総行動




―2.28MIC、純中立懇主催―
『労働法制改悪反対シンポジウム』


 日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)と純中立労働組合懇談会は共催で「労働法制改悪反対2.28シンポジウム」を二月二十八日、東京の日本教育会館で開催しました。
 この日は全労連、全労協、連合の三大ナショナルセンターが初めて一堂に会し、労働法制改悪阻止に向けて、全労働者の結束を誓い合うという画期的な催しとなりました。 シンポジウムには、関連単産から約二百人が結集。冒頭に、今井一雄MIC議長(出版労連委員長)が「労働者がごく当たり前の人間として働いていくために、改悪法案を断固阻止しなければならない」と決意を表明しました。
 連帯のあいさつに立った連合の久川博彦労働対策局長は「裁量労働制の対象業務拡大を許せば、経営側が賃金コストを下げる手段として利用するのは明白。その結果、長時間労働が野放しになり、過労死も増えるだろう」と警告しました。
 続いて新聞労連、全損保、民放労連などの各単産から、既に労働法制改悪を実質先取りして労働強化、健康破壊が進行している実態が報告されました。
 このあとのシンポジウムは、毎日新聞の山路憲夫論説委員をコーディネーターに、日本労働弁護団の宮里邦雄副会長、全労連の熊谷金道事務局長、全労協の柚木康子常任幹事の三氏が労働法制改悪をはねかえす対抗策を論議。
 まず、山路氏が今回の労働法制改定作業について「全労連、連合の主張が何一つ通らなかった」と厳しく批判。これを受け、宮里氏は「規制緩和の大きな流れが雇用・労働分野にも押し寄せてきた。今回の改悪法案を一言で言うと、労働力(マンパワー)をジャスト・イン・タイム方式に変えようとするものだ」と述べ、経営側にとり労働者の使い勝手をよくするだけといえる改悪法案の本質を指摘しました。
 熊谷氏は「今必要なのは規制緩和ではなく、過労死を生む長時間労働、過密労働を規制することだ。広範な国民の力で法案を阻止しよう」と訴えました。
 柚木氏は、女性の視点から「保育園に通っている子供がいれば、(女子保護規定で上限だった)年間百五十時間の時間外労働さえできない。男女とも、子育てが可能な普通の働き方ができる権利を確保しなけばならない」と強調した上で、時間外労働の拒否権の確立を提起して参加者の共感を呼びました。
 また、労働法制に関する連合の対案について、宮里、熊谷、柚木の三氏とも基本的に支持する意向を表明。「連合案をぎりぎりの歯止めとして位置付けるなら大いに賛成」(宮里氏)、「とりわけ、裁量労働阻止と罰則付き深夜・時間外規制は一致して追求するべきだ」(熊谷氏)、「とにもかくにも改悪させないために共同することが大切」(柚木氏)と、それぞれ連合の取り組みにエールを送りました。柚木氏はさらに、労働法制改悪阻止に向け「今年こそ統一メーデーの実現を」と呼びかけ、参加者から大きな拍手が沸き起こりました。一方、宮里氏は、現行の労働基準法さえ十分に機能していない実態を厳しく指摘。「労働組合がただ働き残業を許しながら、労働法制改悪の反対を訴えても、いささか迫力に欠ける」と述べ、経営側に現行労基法を守らせる努力を労組、単産に強く促しています。この日の参加者は全労働者、国民の幅広い運動の必要性を痛感、共闘の場を模索し実際につくりあげていく第一歩としてのシンポジウムとなりました。(新聞労連 高山)




4.10MIC争議支援行動

東陽社・暁美術印刷争議支援で、住友銀行へ


 今年度第1回目のMIC争議支援総行動は、4月10日に行われた。朝ビラははじめてのJR市ヶ谷駅。MIC・純中立作成の労働法制改悪反対のリーフとセットにした1500枚のビラは、9時すぎには配布を完了した。
 本コースは、偕成社、住友銀行、ロイター社前、ラジオ日本、オールスタッフ、朝日新聞社、夜の銀座デモと続く。代表団コースは、朝ビラから読売新聞社(新聞奨学生・上村さん過労死事件)へ千代田総行動の代表と共同の要請後、出版労連のED労組支援を経て本コースに合流する2コースに別れた。
 今回の目玉は、東陽社、暁美術印刷争議支援で住友銀行東京本部前での抗議行動であった。東陽社争議はこれまで朝日新聞、朝日エージェンシーの両社に対して解決を迫ってきたが、2月のMIC争議対策会議(泊まり込み)での議論の中、朝日新聞社を資金面でバックアップして東陽社つぶしを行った住友銀行の責任追求すべきとの意思一致をみた結果初の住友・東京本部への要請となった。また今年の1月、全印総連・暁美術印刷を破産、全員解雇にいたらしめた。その責任は住友銀行にあるとの位置付けから、当該労組としては2度目の住友攻めを行った。
 大手町の住友銀行前での抗議行動には、全印総連・大阪地連から早田さんと、京都のKBS近畿放送労組の中村委員長も参加され、お二人から連帯の挨拶をいただいた。
 昼休みの拠点集会は、ロイター社前抗議行動。狭い歩道一杯の支援の声をバックに不当解雇撤回を迫った。ラジオ日本での要請行動を終えて、徒歩で(株)オールスタッフのあるビルへと向かう。前回までは数名の代表のみによる要請行動であったが、不当な対応を繰り返す経営者にはじめて宣伝カーを持ち込んでの抗議行動を行った。事前のアポをしていたにもかかわらず、またしても責任者不在を決め込んだことに抗議すると、携帯電話から弁護士が弁明する一幕もあった。


夜の銀座デモ


 一日行動の締めくくりは、恒例の銀座デモ。いつもは天気に恵まれない銀座デモもこの日は久しぶりの小春日和。今井MIC議長の「再販制度は大きな反対運動で当面存続することになった。厳しい春闘も大いに頑張ろう」との開会挨拶の後、3人の主催者あいさつ、争議団の決意表明などを受け、デモ行進前の集会を終えた。道行く人に「労働法制が大変!」のリーフを配布しながら、音楽ユニオンのデキシーバンドと多くの要求・課題を掲げた大風船を先頭に450人が夜の銀座を行進した。


岳南朝日労組支援


 3月28日、これも泊り込みの争議対策会議で確認された、新聞労連・岳南朝日新聞争議支援の行動を実施した。昨年に続く2度目の支援行動で、代表団は徳山副議長、印刷、民放、出版、音楽から7名が参加。社長宅への要請行動の後、新聞・関東地連の代表とともに岳南朝日新聞の専務に面会して、争議の早期解決を申し入れた。




家族を、ゆとりを、賃金を...
MIC98春闘総決起集会


 98春闘総決起集会は、3月16日夜カンダパンセホールで開催された。今年は音楽ユニオンのフルートを中心のジャズ演奏(小宅珠実とフレンズ)が軽快に流れる中で開会。
 第2部は、在日30年社員720名、年間売200億円のコンピュータソフトの株式会社アシストの社長でありながら、マスコミで活躍するビル・トッテンさんの講演を聴いた。日本を「属国」のように支配するアメリカの横暴ぶりを、具体的なデータをもとに批判。規制緩和先進国のアメリカの実態、日米労働者の生活や賃金の比較などをしながら厳しい春闘を闘うマスコミ労働者に激励を送ってくれた。この後、新聞、印刷、民放の代表から98春闘を闘う決意表明を受けて散会した。(参加人数は190人)



「情報公開法案」学習会

 懸案となっていた情報公開法案がいよいよ国会に上程の運びとなった。私たちがこの法案をどう理解して、どう活用できるか。問題点や留意すべき事項などを、「情報公開法案要綱案」の作成にも加わった弁護士の秋山幹男さんを囲んで4月8日、出版労連の会議室で行った。MICの情報公開プロジェクトでは、法案を可決させることが重要だとして、この学習会での成果や問題点をチェックして、各政党宛要請書(MICとしての意見)をあげる準備をしている。



再販制度の廃止結論は、先送り
公取委、3年程度で存廃決める


 公正取引委員会は、3月31日、懸案であった著作物の再販制に関する最終報告書を発表した。
 その内容は、今年1月に政府規制研が出した報告書をもとにして、現段階での結論をまとめたものと言われている。「(再販制度は)競争政策の観点からは廃止の方向で検討すべきもの」だが、「文化の振興・普及と関係する面もあり、廃止した場合の影響について配慮と検討を行う必要がある」と述べている。即ち、「廃止」は当面見送るが、指摘されている弊害の改善・是正がどうなされるかをみながら、3年先に改めて存続か廃止かを決めるということだ。今回の報告書を読んで、再販制廃止反対を取り組んだ単産代表者の談話を掲載する。
公正取引委員会の報告書「著作物再販制度の取り扱いについて」に関する談話


日本マスコミ文化情報労組会議  議長 今 井 一 雄


 公正取引委員会の表題の報告書は、再販制の廃止は当面回避するものの、「競争政策の観点からは、廃止の方向で検討されるべき」との基本的な立場を変えていない。私たちはこの3年間、文化的財としての著作物の特性は、競争政策・市場原理になじまないという見解を展開してきたものの、遂に理解されず容れられなかった点に関して、誠に遺憾と言わざるを得ない。また、「何のための」「誰のための」再販制存廃かについての議論も正面から受け止めて貰えず、私たちには納得できなかったとの思いも強い。 また、「文化の振興・普及と関係する面もあるとの指摘もあり、これを廃止した場合の影響について配慮と検討を行う必要がある」とし、「一定期間後に〜存廃の結論を得るのが適当」として、再販制の弾力的運用や流通上の問題点の改善を指摘している。しかし、私たちは現状の問題点が必ずしも再販制に起因するものではないとの主張も行ってきた。もちろんそれぞれの業界内部に早急に改善すべき課題があることは認識しており、その点に関しては自助努力を惜しむべきではないと考える。 いずれにしろ、今回の公正取引委員会の結論を、新たな再販制検討の出発点として受け止め、 関係業界団体とも協力し、同時に読者の理解と支持を得るべく、全力を挙げて取り組みを強めていきたい。


新聞労連委員長代行 小 林 享


 1、同報告が実質的に著作物再販制度の廃止を当面見送るとの判断を示したことは、著作物再販制度の是非をめぐって様々な議論がある中で、拙速を避けた判断であり一定評価できるものである。この結論は、著作物再販制度に賛同する多数の世論と自治体意見書採択などの我々の運動の成果であり、改めてご尽力いただいた団体・個人に対し謝意を表するものである。
 1、著作物再販制度が直接の要因であるかル等 20桁bうかは別にして、販売・流通上の弊害や問題点は、業界自らが襟を正すし、自浄努力を行わなければならない緊急の課題であり、我々新聞産業で働くものとして、新聞経営者に対し販売正常化の実現を強く求めるとともに、その実現のために有効な諸施策を行う決意である。しかし、併せて同報告が景品規制の見直しと『特殊指定』の撤廃に言及したことは、到底容認できるものではなく、引き続きその存続のために国民各層に理解を求めていく。
 1、著作物再販制度の存廃は当面先送りになったとはいえ、公取委の報告は基本的に廃止の報告を示しており、引き続き検討が継続される。今回の公取委の結論は、著作物再販制度をめぐる問題の決着ではなく、新たな議論の出発点である。我々は、著作物再販制度が豊かな文化の発展に寄与し、言論・文化の多様性を確保し民主主義の土台を確固としたものにする上で必要不可欠な制度であることを、いっそう読者・国民各層に理解されて支持を広げることができるように今後も運動を継続していくとともに、著作物再販制度によって読者に信頼される質の高い新聞づくりに邁進する決意を表明するものである。


出版労連書記長  瀬 間 勉

 1、公取委は報告書で、再販制は「競争政策の観点からは、廃止の方向で検討さるべき」としつつも、「本来的な対応とはいえないものの文化の振興・普及と関係する面もあるとの指摘もあり」「廃止した場合の影響について配慮と検討を行う必要があると考えられる」との観点から、「引き続き検討を行うこととし」当面この結論を得るまで、再販制を現行品目に限定して解釈・運用するとし、廃止見送りの判断を示した。
 1、この点に関して、言論・出版の自由と文化の発展のために、再販制の存続を求めてきた私たちの主張と運動や制度廃止を危惧する読者の声が反映されたものとして、一定程度評価する。
 1、報告書はまた、消費者利益確保の観点から再販制の弾力的運用や流通・取引慣行上の弊害・問題点の改善・是正の必要性を指摘している。私たちは出版流通上の諸問題が、必ずしも再販制に起因するものではないと主張しているが、業界内に早急に早急に改善すべき課題があることに異論はなく、その点に関する指摘は真摯に受け止め努力すべきと考える。
 1、再販制廃止は当面回避されたものの、報告書は基本的に廃止方向を志向しており、今後も存続の検討が継続される。私たちは出版流通の改善に、業界団体とともに全力を挙げるとともに、読者の支持が得られるよう取り組みを強めていく決意である。


日本音楽家ユニオン代表 運営委員 崎 元 譲


 3月31日に政府の規制緩和委員会と公正取引委員会が、当面著作物の再販制度維持の存続を決めました。3年ぐらいを目途に検討を続けると言うことですが、当面の撤廃は回避することができました。今回はMIC全体はもちろん特に新聞、出版の仲間との団結の力が大変大きかったと思います。
 私たち音楽ユニオンも全国の組織一丸となって取り組んできました。市民に協力を求める一方、レコード協会をはじめ音楽業界全体が再販制度維持運動に参加しました。これからも気持ちを引き締めてこの問題に取り組んでいきます。みなさまのご協力を感謝します、今後ともよろしくお願いします。