MIC議長  今井 一雄

 私は年末年始がくると、争議団の人たちのことが気になります。どういう気持ちで新年を迎えるのだろうかと。かてて加えて昨年は私の会社でもリストラの犠牲で、50人もの希望退職者が出ました。希望退職という呼称に反して、泣く泣く退職した人たちもいます。そういう人たちの年賀状が、また気になります。私にくれる人たちは、再就職できたり、別の生き方を選ぶことのできた人たちばかりですから、本当のところはやっぱりわかりません。昨年『学校』という映画を観ましたが、現実はそんなに美しくはありません。  韓国の労働組合は、まだ緒についたばかりだそうですが、失業者の組合を作ろうとしているそうです。確かにリストラ・合理化での失業は、本人の意志であるとは言えません。失業者組合は、政府に対して異議申立の権利を持っていると、私は思います。  最近気が弱くなって、私は自分が在職したまま天下国家を論じているのが、気恥ずかしくなることがあります。労働組合で失業を防げなかったこと、失業者を救済できないことが自分の責任のような気がしてくるのです。 これからますます厳しくなるでしょう。人ごとではありません。にも関わらず、自分と仲間のいわれのない失業を防ぎ、職と食を守る役割をどう具体的に果たすかを、失業者の視点から考えていくことが要求されているのではないかと、つくづく考えさせられたお正月でした。


事あり続きの1年となるか
MIC副議長 服部 孝司(新聞労連委員長)

 どちらかといえば事なかれ主義なのに、人生のほうは、事あり続きで、今年がどうなるのMICのみなさんを引きずり込むのではと心配しています。 昨夏、新聞労連の産業政策委員会で「新聞消えた日」を出版したら、委員長就任の途端、北海タイムスが倒産するという波乱のスタートを切ることになってしまいました。 今年、新聞は販売の根幹にかかわる特殊指定が風前の灯です。春には、廃止か一部改変となりそうな気配で、購読料が地域によって変更できるようになれば、再販は断崖絶壁に立たされたも同然です。  昨年末の一時金獲得額は平均で前期割れ25000円と大きく落ち込みました。今春闘はさらに厳しくなりそうですが、不況だけでなく、再販撤廃を理由にした賃金抑制ですからやっかいです。ため込んだ金が値引き合戦の軍資金に使われれば、第2、第3の北海タイムスが続発する危険がますます高まってきます。 一昨年はMICのみなさんの多大なご支援をいただき、再販廃止を辛うじて阻止することができました。しかし、その後、新聞業界は景品規制緩和や懸賞を始めるなど、支援者への裏切り行為を連発し、公取委の思うツボになっています。 何度寝返りを打っても、ましな初夢は見られそうにありません。ただ、MICのお世話になることだけは正夢になりそうです。


正常であることが異常なのか

 MIC副議長 碓井 邦夫(全印総連委員長)

 またもや、新年早々に中村法務大臣の舌禍事件が起きた。こともあろうに、法の番人の最高責任者が「憲法」に因縁をつけたのだから、いったいこの国の常識は「どうなっているの?」といいたくなる。これまでにも、数多くの大臣クラスの政治家が同様の事件を起こしている。今回もそうだが、そのたびに聞かされる「いいわけ」ほど白々しいものはない。  最初の言葉を「真意ではない」として、まったく別の意味の言葉にいいかえるという、夜店の商人さえ憚るようなウソを平然とついてみせるのだ。このような言い訳が罷り通るようでは、法律もその番人もいらないことになる。これほど言葉というものを軽んじる人に国務大臣はおろか、常識的な社会人として の資格はない。堺屋経済企画庁長官の「胎動」然り、小渕首相の諮問機関である経済戦略会議の「提言」然りである。巧みな言葉使いの陰に鎧ありとみるのは穿ち過ぎであろうか。  その「戦略会議の提言」だが、日経連の「労問研報告」よりひどいという評価が出始めている。労働法制の改悪が雇用の「かんばん方式」とするならば、この提言はすべての勤労国民を漏れなく対象とする「一億総収奪体制」の構築であるという。まさに、逃げ場なく、泣き寝入りすらできない状況になったといえるのではないだろうか。そして、労働組合の組織形態が職場と産業の両面から見直しを迫られている。敵を知り、己を知らば、百戦危うからず。



社会に思いやりといたわりを

MIC副議長  岩崎 貞明(民放労連委員長)

 「去年今年 貫く棒のごときもの」地上波放送のデジタル化・Vチップ導入論議と、年が改まっても激変に脅かされ続ける民放業界ですが、民放経営者も「会社の生き残り」のために、相変わらずなりふり構わぬ利益確保に走っています。利益=視聴率という構造上、「数字」のためなら何でもありといった番組作りが横行しています。放送の中で、個人の権利やプライバシーが侵害され、特異な事件になると洪水のように情報が垂れ流されています。 こんなことを続けていれば、21世紀には日本の放送は視聴者からの信頼を決定的に失って、広告媒体としての価値も大きく低下させることになるでしょう。これは放送というメディアの緩慢な死に他なりません。さて、どうしたらいい? 社会のあらゆる場面で、個人個人が人間を取り戻していくこと、放送を担う人が、ひとちひとりの人間に立ち返って、思いやりといたわりを持って他者に接していくこと。唐突で極端だと思うかもしれませんが、メディアが社会を映す鏡である以上、社会の根底から変革を試みる観点で発想していかなければ、根本治療にはならないのではないでしょうか。 放送の質向上の取り組み、市民と連帯する労働組合の活動を通じて、少しでも理想に近づけるように努力したいと思います。



映演共闘の1999年は・・・?

MIC副議長  杉崎 光俊(映演共闘議長)

 昨秋は財政問題で総会が開けず、ようやく12月21日に開催。今井議長から映演共闘の現状に対する核心を突いたごあいさつを戴き、8時間に及ぶ討議を経て今年度の運動方針を確立しました。 昨年は、「映画・プライドを批判する会」の運動にエネルギーを注ぎ込み、労基法改悪阻止、日本映画振興基金の取り組み等などが若干手薄になったことが反省点です。 とくに「労働法制の改悪」については、映画産業内では既成事実化していることから、現行違法行為の合法化、「それでイイのか!」という位置づけで、運動を強化せねばと考えています。 産業政策では、作品的にも流通面でも強力な外資攻勢に晒され、自信喪失状態に見える日本映画ですが、今ならまだ底力は残っています。これを契機に演劇も含めた産業の近代化を進め、映像三団体(日本映像職能連合・日本俳優連合・映演共闘)で立案した「日本映画振興基金」の実現に向け、超党派で結成する映画議員連盟による立法化をめざし運動を進めていきます。 映演共闘の組織強化は直面する課題です。財政面を含め、運動の強化と継続性をテーマに、組織のあり方を徹底論議していくことが確認されています。 その他、日常活動を含め「やらねばならぬこと」は山ほどあります。経済闘争、大映支援共闘、日活対策、瀬川労災等々・・・。そして、今年は新たな争議が発生しかねない波乱万丈の映演共闘です。少々情けない今年の抱負になりましたが、その時は是非、MICに結集するみなさんの強力な支援をお願いします。



希望を持ち、議論をし、行動に移す

MIC副議長  徳山賢二(広告労協議長)

 日本の広告会社は、全般に利益率の長期的低下傾向にあり、消費低迷、不況、銀行の貸し渋りの逆風に加え、メディアのデジタル・多チャンネル化への動き、異業種からの広告業界への進出、そして外資参入といった激変を目の当たりにして、各広告会社の経営は自らの未来像を描けずに右往左往しています。 経営者としてのすべての責任を、戦後最大といわれる構造不況に転嫁し、優勝劣敗の思想を声高に喧伝しつつ、未来への処方箋を何ら書けない経営者が広告業界には極めて多くいます。打ち出す方策といえば、生活賃金の抑制と人減らしであり、これのみが具体的で実践的であります。 物質的投資をあまり必要としない広告業界では、企業にとって「人」こそ最大の財産であり、経営資源でもあります。にもかかわらず従業員の生活水準をいともたやすく切り下げ、あるいはその存在を否定する所作は、経営自らの首を絞めることでもあります。 今年はあらためて、賃金は生活賃金であるということを認識し、労働組合は生活の安定と向上を目指し、雇用を守るのだということを強く打ち出す考えです。経済状況が極めて厳しいことは紛れもない事実ですが、皆が本音で議論をし、何とか知恵を絞って、自らの生活の安定と職場を守っていかなければなりません。 常に希望を持ち、大いに議論をし、行動に移す労働組合でありたいと考えます。



人々の心に音楽を

MIC副議長 崎元 譲(音楽ユニオン代表運営委員)

 昨年も前年に引き続き厳しい経済状況の中、私たち音楽家にとっても大変な一年でした。懸案の再販制度の維持はMICの強い団結によって守ることができました。 今年は国や地方自治体の財政状況からオーケストラなどの補助金の削減が予想されます。又レコード業界の状況や放送のデジタル化へ向けての影響がフリーの演奏家にとっても非常に気になるところです。 今春闘も今までとは違った展開を考えなくてはなりません。ミニマムスケール(基準演奏料)の引き上げはもちろんですが、むしろその他の条件の改善について全国6000人の会員一人ひとりの要求を受けとめていかに成果を上げていくかが重要な課題です。 文化庁に対しては、芸術文化の予算について私たちの要求を申し入れています。第2国立劇場については、私たちの長年の主張である専属オーケストラときちんとした形の専属合唱団の設置を要望しています。 毎年全国的規模で行っている「3・19ミュージックの日」では、音楽を通して私たちの要求などを聴衆に対しても理解を求めています。 オールスタッフの争議には昨年も大変お世話になり感謝しています。今年は正念場を迎えますので、より一層のご支援をお願いします。 今年もMICの一員として諸問題の解決に取り組んでいくことを決意しています。



MIC最大単産への夢!
小林 寛志(電算機関連労働組合協議会議長)

 気候的にはたいへん穏やかな内に新しい年が明け、休むことなく時は進んでいます。  今年も昨年に引き続いてのさまざまな困難さが予想されるところです。  昨年は「乱」という字が大活躍した年でした。金融機関の「乱脈」から発し、大蔵官僚の「乱交」振り、果ては公的資金と称する税金の「乱用」。国民の多くは「混乱」のなかで新年を迎えました。  国家レベルの「失政」による経済不況に対しては、各企業は益々「営利」の追求に走り、人を減らしてでも企業を守る姿勢が強くなることが予想されます。  労働組合も、いつでも企業におんぶに抱っこの状態から抜け出せないようでは21世紀に向けての展望は見えません。  電算労は昨年、独自のインターネットのサーバー環境を備えました。毎年恒例の「電算労アンケート」もインターネットを通して集めるようになりました。  卯年にあやかり、兎の耳のようにネットワークを駆使し、広く未組織労働者の声を集め、彼らの要求をもとに、50万とも100万とも言われているコンピュータ関連未組織労働者を電算労の下に組織化する。  その暁には、電算労がMIC最大単産になるにちがいない・・こんな初夢を今年も見ながら、皆さんと力を合わせて頑張りたい。



 年末の17日、「98生音楽に親しむ関西MIC歌う望年会」に招かれました。噂には聞いていました。今年で8回目になるそうです。  この望年会は、音楽ユニオンの生演奏で、(未加盟の電算労と専門家の音楽ユニオンを除く)6単産の(厳しいオーディションを経て選ばれた)のど自慢が覇を競う、それを会費3千円で飲み食いしながら楽しむというものです。 140人余の参加で大盛況でした。  梅田「玉姫殿」という結婚式場で、まるで披露宴に招かれた感じ。今回は12人(組)の出演で、半分ほどは私の知らない若者の歌です。審査もそのために若者とペアでします。  この望年会の歌の水準については感想を控えますが、二次会のカラオケが異常に盛り上がったことは事実です。  どこも似たような望(忘)年会です。ビンゴや福引のアナタまかせの余興に比べれば、本人参加で技を競わせ、それを応援する(ヒヤカシも含めて)、ウサはその後のカラオケで晴らす(これは希望者で)というスタイルは斬新です(裏方は大変でしょうが)。  東京人はテレ屋ですから真似できるかなとは思いますが、やってみる価値はあります。誰か仕掛けてくれませんか。 (今井一雄)



 暮れも迫った12月23日(祝日)の午後、出版労連の会議室で春闘討論集会がもたれた。当初は泊まり込みを予定していたが、年末多忙のためもあり午後半日に集中することになった。第1部は、昨年の労基法に続いて今通常国会に上程されている「派遣法」の改悪案の内容を、井上幸夫弁護士(日本労働弁護団幹事長)に講演していただいた。2部は、98年末闘争の状況と99春闘構想を各単産から報告してもらい、質疑・討論を行った。  派遣法の問題点などについては、後日MIC労働法制特別委員会での議論も含めて掲載予定。MIC各単産の99春闘構想のみを報告する。(文責・事務局)

●【新聞労連】
 年末闘争は、広告費の激減もあって前年ダウンの状況。99春闘では、新聞労連としては要求に対する発想の転換を提起している。従来の月収ベースを年収で考えるということだ。35歳平均で642万円ー3000人の企業・大卒で40万ほど低い。この分を賃上げと一時金でカバーする。35歳28,300円、8.13%の要求基準額で、スケジュールとしては2月26日に提出、3月末山場の統一行動、4月上旬決着をめざしている。

●【全印総連】
 出版不況の影響もあり、大変厳しい年末闘争の状況が続いている。99春闘では、情勢討議をきちんと行いたい。不況の原因は何か、誰が悪いのかなどみんなで議論して、足を踏み出す春闘にしたい。家計簿調査では、6.6万、アンケートでは4.6万との結果が出ているが、春闘共闘の3.5万円以上を基準にしたい。2.7集会には地方からも上京団を迎えて、2.25の総行動には印刷独自の一日行動を設定。3月26日には出版との共同集会(10000人規模)を予定している。

●【民放労連】
 年末闘争は、収益悪化、デジタル化投資への備えを理由にした攻撃で、前年比マイナスとなり、また年収闘争では同一年齢比ではじめて、わずかだが前年よりダウンした。  99春闘をめぐる情勢は、年末に引き続き不況とデジタル化、BS新会社スタートへの設備投資を理由して、賃金抑制への攻撃が一層強まる。民放労連としては、半年収引き上げの基準を従来の、8%(同一年齢比)→5%、10%(同一人物比)→8%にして、1月末の大会で決め、3月1日提出、3月17日の回答指定の予定である。

●【出版労連】
 昨年末ではじめて30割を割った(29)が、今年はさらに落ち込んでいる。本が売れないうえに、新刊重点主義ー過剰返品の繰り返し、さらに銀行の貸し渋りの影響など、経営危機の企業、争議も増えている。99春闘だが、@35才―2万円以上、誰でも7000円A改悪労基法と残業規制のとりくみB産業政策を議論して、業界団体や個別企業に提言できるような要求作りB派遣法や新ガイドラインの取組みなどを柱にして頑張りたい。

●【広告労協】
 一時金闘争は集約中だが、前年をクリアーしたところが12組合、前年割が25組合、このうち9組合は60%以下という状況だ。99春闘だが、状況としては、新人事制度が99年春で、大手の企業すべてに導入となる。好調だった電波媒体も落ち込み、外資参入があったり、大手の機構改革など再編の動きが急で、企業淘汰が始まっているともいえる。  こうした状況で単組の意識が、共闘より企業内閉じこもりになったり、企業内優先になる心配がある。2月6、7日の大会で方針決定をする予定だ。

●【映演共闘】
 10月の大会が延期され、去る21日に持たれた。議長、事務局長が映演総連との兼任になり、議長が木村さんから杉崎さんに代ったことを報告する。ご存知のように松竹、東映の赤字決算など依然として厳しい状況だ。  99春闘では、@日本映画振興基金へのとりくみA瀬川、佐谷労災闘争を芸能界全体に広げるB出版などの最賃闘争を参考にし、職能別・業種別の最賃闘争を検討するC民放労連の協力で、放送局への要求実現をめざす。

●【音楽ユニオン】
 オーケストラの年末闘争は、厳しい状況であることは変らない。99春闘は、国や地方自治体の補助金削減があり、各種イベントの激減で聴衆が減り、オケやフリーの音楽家にとって極めて大変な状況だ。3月19日を全国的に「ミュージックの日」として、生の音楽を身近のものに、ミニマムスケールを確立するために充実させたい。NHK、レコード協会、民放キー5局には、従来より絞り込んだ要求を12月から1月にかけて提出する。  その他割増金のアップ、著作隣接権の追加報酬問題など課題はいっぱいだ。

●【電算労】
 そろそろ不況の影響が出始めているが、今のところわずかだが昨年末の一時金を上回る回答が出ている。本日の資料の中に、電算労のアンケートを入れさせていただいたので協力をお願いする。電算労としてはMIC関連のそれぞれの企業にいるコンピュータ関係の派遣の労働者へのアンケートをすることによって、組織化のお役に立てばと考えている。また、今年からこのアンケートをインターネットを使ってやることにしている。  99春闘の要求額、方針については、2月の総会で決めることになっている。