「自自公体制」の国会では、国の進路を大きく変える重要法案が多くの国民の反対を押し切って、強行採決されている。新ガイドライン法(5月24日)、労働者派遣法、職業安定法(6月30日)の改悪成立に続いて、盗聴法(通信傍受法案)は参院で審議中、日の丸・君が代(国旗・国歌法案)は、衆院内閣委員会ですでに地方・中央の公聴会が終了している。こうした国会状況を踏まえて、今年のMICフォーラムのテーマは、「検証・新ガイドライン時代」。  なぜかくも悪法がスイスイと通るのか、われわれは今後これらの問題とどう向き合うか、マスコミの役割は、などを検討する。  多くの皆さんの参加をお願いする。

 なくせニュークス99MIC長崎フォーラム
「検証・新ガイドライン時代
― 国会から地域から ―
● 日 時    8月8日(日)1時〜
           8月9日(月)〜 正午

● 会 場    「矢太楼(やたろう)」
          長崎098(822)8166

● 参加費    1万8千円(宿泊費、交流会費)
● 基調講演  保坂展人・衆議院議員(予定)
          「悪法がスイスイ通るしくみ」

● パネルディスカッション

● 平和散歩、記念式典

※申し込みは各単産本部まで
※問い合わせは新聞労連(田中)まで 03(3265)8641

 

盗聴法に断固反対する(MIC声明)

1999年6月23日
日本マスコミ分化情報労組会議

 去る6月1日に衆院本会議で可決された「通信傍受法案」は、参院法務委員会に掛かっており、成立する恐れが強い。この間の審議を通じて、諸外国にも例を見ない悪法に対する危惧の念と危機感が募っている。

 私たちは、まず第一に警察による過去の盗聴行為が、いかに悪質なものであったかを想起せざるを得ない。第二に、そうした土壌は「組織犯罪対策」をどれほど強弁しようとも乱用のおそれを払拭できない。乱用されれば憲法で保障されている基本的人権を侵害し、民主主義の根幹を揺るがすものになる。

 法案の内容は、公明党の修正案を加味しても、無原則盗聴の歯止めにならない。一般市民のプライバシーの侵害はもとより、とりわけ私たち報道機関にとって、取材・報道の自由を侵す危険性が指摘されている。この法案は、令状に記載された犯罪と無関係な会話は盗聴をやめるとあっても、その後の会話は聞けるし、通話相手の逆探知は令状の必要がない。さらに、犯罪と関係ないと判断されれば、当事者への通知も不要とされている。

 盗聴される危険性があるとすれば、報道現場の情報収集や取材活動は制限されるし、記者自身のプライバシーも侵害されることになる。権力を監視する立場にある報道機関が、逆に権力の監視下に置かれることになりかねない。警察による監視社会の再来は、絶対に許されない。よって私たちは「通信傍受法案」に断固反対し、廃案を求める。

以上


 

「韓国言論労連」に何を学ぶか

MIC議長 今井一雄

 6月1日に、新聞労連と韓国言論労連の『第4回韓日言論人シンポジウム』が、釜山で行われた。テーマは「リストラ・合理化・過労死」ということで、日韓の新聞産業とそこで働く労働者にどういう事態が生起し、どう対処すべきかを巡って報告が行われた。
 言論労連は、新聞・放送・出版の労働組合の連合体(出版は97年12月に加盟。84単組、1万7千人)である。私たちはそれまで新聞、出版が個別に行っていたシンポを、MICと言論労連とで実施する道を模索してきたが今回は実現できず、MICは後援ということになった。正確な報告は新聞労連から出されると思う。私の参加はMIC議長ということではなく出版労連委員長だったが、一傍聴者として印象的だったことを報告する。
 韓国側の基調報告は、「IMF救済金融以後の韓国言論社の構造調整と現況の問題点」と題して金宅煥・韓国言論財団責任研究員が行った。リストラの激化で言論界が揺らいでいる特徴的な状況(労使協議なしの各部の統廃合、人減らし、解雇など)は、結果的に権力監視、権力批判の機能をなくしているとのことである。ただ、彼らの危機感はこうした状況の報告に止まらず、どうこの事態を乗り切るかの具体的な提起を含んでいた。
 @欧州の政策をモデルに、言論人の再研修に政府が介入すれば失業者を2%減らせる、A言論財団を設置して教育機関を作らせ、ジャーナリストに1〜2年の研修を行わせる、B失業者(180 〜200 万人)の救済のために公共資金が20億ウォン投入されているが、これでは足りないのでもっと税金を使うべきだ、などという認識から、言論人の将来について、メディア研究教育機関を作ろうというものである。
 連合は日経連と共同で、昨年末「100 万人雇用計画」を政府に提言した。真意や実効性に疑問があるとのことで評判はよくないが、それでも政・財界の無策を一方的に攻撃し、対案の提起と実現の運動を殆どできない単産に比べればマシである。私たちの運動は、出版労連を含めて、事態を直視し政策を提起し、実現の道筋を明らかにするリアリズムに欠けている。労働組合らしい行動と共闘に臆病である。
 前述のような、前向きの具体的発想は言論労連に特徴的なもので、民主労総の中でも政策集団としての機能を発揮し、また期待されていることを思えば当然であろう。もちろん日本の産別組合も産業の危機を言うけれども、対処療法的な対策に止まる。韓国の労働運動も停滞ぎみであると聞いているが、後がないという意味での危機感は、日本のそれに比較すべくもない大きいものがある。
 日韓のマスコミ各社の合理化と、それに伴う言論の危機は新聞産業に止まらない。また新聞労働者だけの問題でもない。マスコミの反合闘争は、経営危機と「国」の右傾化を阻止し、巷に放り出された私たちの仲間も含めた復権を、誰とどうやって果たすかにかかっているといえる。その点、韓国の報告と日本のそれとがかみ合わず、時間の関係や、同じマスコミでも放送や出版の両国の産業の実態報告、そして討論が全くなされなかったのは残念である。シンポジウム後のフォローを、新聞労連に期待するものである。 (以上)


 

国旗・国歌法案に反対する

1999年6月23日
日本マスコミ分化情報労組会議

 政府は6月11日の閣議で、日の丸・君が代を国旗・国歌として法制化する「国旗及び国歌に関する法案」を決定し、同日午後に衆院に提出した。政府・与党は今国会での法案成立をめざしている。
 政府は、1991年の湾岸戦争を契機に、92年にはPKO協力法を成立させた。ここに名実ともに憲法は形骸化し、戦後の平和主義の理念は崩壊した。そして今国会では日米新ガイドライン関連法を成立させ、時代錯誤の国家総動員体制の仕上げとして、ついに日の丸・君が代論議に世論を誘導するという深刻な状況を作り出してきた。国旗・国歌の法制化は単に「国民の間に定着している」から「きちんと法定していく」といった問題ではなく、それを背景に国家への忠誠を国民に強制しようとするもので、思想・信条の自由を侵す暴挙である。
 日の丸・君が代は、明治憲法下の教育によって国民に強いられてきたものである。そして、天皇制・軍国主義が引き起こしたアジア太平洋戦争における、日本の侵略のシンボルとして、アジアの諸国民に受け取られたものであった。日本は未だアジア太平洋戦争の清算を成しえていない。仮に国旗・国歌の法制化を図るとするならば、日米新ガイドライン関連法とともに、アジア諸国の日本に対する不信感は抜きがたいものになり、孤立はますます深まるであろう。
 よって私たちは「国旗及び国歌に関する法案」に強く反対する。

以上


 

労働者派遣法・職安法改悪案
採決強行に強く抗議する

1999年6月30日
日本マスコミ文化情報労組会議

 本日、すべての労働団体の反対を無視して、労働者派遣法と職業安定法の改悪案が審議を尽くすこともなく、参議院で採決され可決・成立した。
 そもそも労働者の雇用のありかたの根本にかかわる法案を、あらゆる労働団体が反対するなかでかくも一方的に採決に突き進むことは、まさに民主主義を踏みにじる行為としか言いようがなく、私たちは強く抗議する。
 既にマスコミ産業では、多くの『派遣』労働者が常用雇用の労働者と混在して活躍している。いま、最大の問題はこれらの派遣労働者が正規雇用の労働者と同じ仕事をしながら、比較にならないような低賃金を余儀なくされ、しかもきわめて不安定な雇用関係におかれていることである。憲法の保障する「健康で文化的な最低限の生活」の維持すら困難な環境におかれ、将来の生活設計さえままならない人たちが多数を占めているのである。
 なおかつこれらの『派遣』の中には、派遣先の責任逃れのためにいわゆる請負の形態をとって長期間働く『偽装請負』が横行している。本来労働行政がとるべき道は、一刻も早くこのような違法・無法状態をただし、派遣労働者の劣悪な環境の改善を最大限に追求することであろう。
 しかるに、本日成立した改悪派遣法・職安法は、こうした現状をあらゆる職種に拡大し、派遣労働者がいまおかれている過酷な状況に背を向けて、企業のリストラ・利潤追及のために労働者を犠牲にして顧みない改悪である。労働者保護という本来、労働行政のとるべき基本的立場を完全に放棄したものと断ぜざるを得ない。
 派遣労働者の多くは、労働組合に加入して自分たちの最低の権利を主張する機会さえ奪われている。私たち、マスコミ文化情報関連産業の労働組合はこうした未組織のままにおかれている圧倒的多数の派遣労働者の仲間との連帯・共闘を今後真剣に追及していくとともに、派遣法・職安法改悪の意図する雇用破壊を許さず、公正・公平な働き方を産業全体に確立していく決意を表明するものである。

以上