6月2日、東京で「日韓シンポ」開催

 

 「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が検定を通過して、国内外に批判の声があがっている。MICは声明を発表すると同時に、韓国言論労連と共同して、この問題で6月2日、「日韓シンポジウム」を開催することを決めた。(詳細次号)

声明文

2001.4.25
MIC議長 今井一雄

1.さる4月3日、文部科学省は「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)の編集・執筆による中学校歴史教科書の検定を合格させた。「つくる会」は137カ所につけられた検定意見の全てを受け入れ修正に応じたとはいえ、その基本姿勢は変わっていない。
 その最も本質的な問題は、「歴史を学ぶとは、過去の事実を知ることではなく」「今の時代の基準からみて、過去の不正や不公平を裁いたり、告発したりすることと同じではない」として、一面的な主張をしているところにある。
 これに対して加藤典洋・明治学院大教授は、「善と悪が時代に特有のものでしかないなら、私たちに善と悪とからなる普遍的な価値観はないことになる」と批判している(4月22日、『毎日新聞』)。私たちはこの批判を是認するものである。
2.またこの歴史教科書は、中国、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)や韓国政府が歴史を歪曲しているとして憂慮の声を上げるばかりか、国内からも批判があいついだ。そして検定合格後もこの間の批判を踏まえて、「扶桑社の歴史教科書は、教科書として優れているとは評価し難いということだ。検定合格後は、教科書を使う側の採択の問題になるが、中学生が学ぶにふさわしいものとは思えないのである」(4月4日『毎日新聞』社説)などの懸念が、次々に表明されている。
3.1998年、文部省(当時)は、アジア太平洋戦争における日本の侵略行為を正当化するため、現行教科書の近現代史部分は「偏向」しているとし、教科書会社経営者に申し入れた。その結果「従軍慰安婦」「南京大虐殺」などの記述は大幅に後退した。
 町村文科相は、4月4日の異例の記者会見で、「つくる会」の検定前の申請本の内容を「ずいぶん偏った書き方だなあという感じを持った」とし、その上で「137カ所の検定意見が付き、修正され合格したものを見ると非常にバランスがとれたものになり、合格するにたるものになった」、そして中国、韓国などから反発が続いても「(記述に)明確な誤りがあるとは思っておらず、修正は考えていない」と述べている。
4.文部科学省の今回の措置は、国際協調を排し日本を孤立化させる風潮を助長するものである。この動きは1990年代半ばに現れ、政権党の危機感と日本経済の崩壊を背景に、草の根の動きと相まって新たな国家主義ともいえる様相を呈してきた。その政治レベルでの現れが、記憶に新しい1999年の「日米新ガイドライン」から「国旗・国歌法」にいたる法律の成立である。
5.冷戦の終結、南北朝鮮の和解と統一の兆しと、世界の情勢は急速に変化しつつある。過去の清算に関して、日本政府は「謝罪」と「妄言」を繰り返してきた。一方、国が関与する教科書の検定においては、アジア太平洋戦争における侵略の正当化を容認し続けてきている。こうした文部科学省の対応は、アジアの国々に不信感と警戒感のみを与えている。 「つくる会」の歴史教科書の検定合格は、1982年に「侵略」を「進出」に書き換えたとして、アジア諸国の抗議により外交問題化した事件を超える状況を作り出している。
6.私たちは「つくる会」の教科書が、現行の検定制度によって合格した経緯をみて、改めて「検定制度」に疑問を持たざるを得ない。言論・表現の自由の観点からはもとより、国の独善的な判断によって検定の合否を決めるのは「国定」に準ずる。検定制度の見直しとともに、1970年代に行われた旧西ドイツとポーランドの、共通の歴史認識を基にした教科書作りに倣い、日本とアジア諸国の共同作業も具体的に進められなければならない。
7.私たちはこれからはじまる採択活動に臨み、「つくる会」の教科書が教育現場で使用されることを危惧する。「つくる会」は採択制度の変更を迫っており、その結果現場の教師を排除し、その意向が反映できなくなる事態が起こりつつある。公正な採択を願う。
 「見過ごせないのは、「つくる会」が自らの史観を広める運動の舞台を学校としていることだ」「ただ思想信条にもかかわる微妙な問題を教育の場にストレートに持ち込むのは好ましくない」(『毎日新聞』同前)と、私たちも考える。
8.「朝鮮史」を専門とする趙景達・千葉大教授は、「この教科書を読む限り、世界のいかなる国とも手を結ばず、日本人一人で生きていこうとしているかのようで暗い気持ちになる」「私の娘は周りの生徒や先生を平静な表情でながめられるだろうか。真っ赤になって首をうなだれるしかない。(そうなれば)たまらない」と危機感を表明している(2000年1月27日、『民団新聞』)。私たちはこの思いをきちんと受け止めなければならない。
 そうしなければ、日本はますます国際社会で孤立を深めていくだろう。

以上

 

 
 

 
日販は会社破産の責任をとれ!
 日販社前は、100名近くの参加者を得て、集会を行いました。要請行動においては、この間全国から寄せられた、日販菅社長に争議解決を求める要請署名を手渡しました。私たちの要請に対しては、相変わらず社員4人がピケをはり話し合いを拒否しています。
争議の現状
 会社破産・全員解雇から1年4ヵ月。労働委員会の審問も佳境に入っています。
 第1回審問(3月23日)、組合側証人の小峰労組委員長は、日販の全面的なほるぷ支配と、組合を嫌悪した日販がしくんだ倒産劇について、日販役員と鰍ルるぷ社長が破産の日程まで決めていた議事録などの極秘資料も示しながら明かにしました。
 第2回審問(4月11日)では、日販側証人の主尋問と反対尋問が行われました。証人のエヌ・エー・シー(日販の子会社)木下建夫社長は、日販とほるぷの支配関係を決めた当事者でなく、具体的な事実関係を聞くと「知らない」を連発。破産後も旧ほるぷの法人や個人と代理店契約しながら、労働組合員とは契約できないという根拠も成り立たなくなりました。
 私たちは引き続き倒産をしくんだ当時の日販役員の証人調べを求め、労働委員会の場で組合敵視による子会社つぶしの実態を明らかにしていきます。

会長のポケットマネーで海外旅行
 明治書院の社前行動は、本春闘二回目。あまりにもあからさまな組合つぶしの不当解雇に怒りの声が日に日に高まってくるのを実感する。MIC総行動の一環として10時30分から開始されたが、すでに10時過ぎには社前に人が詰め掛け、予定より早く開会した。
 新聞労連鋤柄書記長の主催者挨拶のあと、千代田区労協の伊部さん、倒産解雇と闘う新光美術の仲間からの連帯の挨拶と続き、当該朝日書記長が経過報告と決意表明を述べた。
 会長に4,800万円もの年収を保障しながら10人の労働者のクビを切ったことが様々なところで引用されているが、朝日書記長は今年の社員旅行は会長のポケットマネーで海外旅行に出かけると会社が発表したことを紹介、満場の失笑を買った。
 決議文の読み上げ・採択のあとの要請行動では、相も変らぬ通用口に人を立たせたままの「(要請は)お断りします」の一辺倒。テープレコーダーのように同じ言葉を繰り返す三樹敏総務部長の応対に、組合敵視は如実に表れていた。

内部でもさまざまな矛盾が
 4.13MIC争議支援総行動で昼の拠点に位置付けられた角川書店本社前抗議要請行動は、200名を超える参加者を得て成功させることができた。3.15の出版労連春闘第1波の決起集会を兼ねた600名規模の抗議行動に続く社前の行動で、角川経営を確実に追い込みつつある。裁判では、角川歴彦社長・財団理事長ほか2人の部門長が出廷した、2回の証人尋問を通して、利益追求のためには労働者の権利や文化を簡単に切り捨てる角川経営の体質は、ますます明らかになってきている。また、角川書店内部でもさまざまな矛盾が露呈しはじめてきて、そのことと角川財団争議の意味が結びつき、社内からも争議解決を求める声が高まっている。
 今後、5.15の第3回証人尋問(財団編纂室から仕事だけを移した、100%子会社の飛鳥企画の社長が出廷)、6月末の角川書店株主総会に向けて、さまざまな取り組みを通して、角川経営に争議の早期解決を求めて行く。

組合つぶしのために自己破産
 午後2時から約100名で新宿区新小川町の旧新光美術東京営業所(現新光インターナショナル、新光ウェブ)前で、抗議集会を行いその後、建物に入り要請書を手渡ししました。
 集会は、大原全印総連書記長の司会で進められ、今井MIC議長が「営業権を関連会社に譲渡して、組合つぶしのために自己破産・全員解雇をしたことは許せない」、前田新光美術労組書記長が「何としても労働債権、雇用の保障を佐藤一族に取らせる」と怒りの決意を表明しました。最後に中村新光美術労組執行委員がシュプレヒコーラーを勤めました。
 集会後、深野全印総連東京地連委員長や緒方映演共闘副議長ら6名で新光インターナショナルの中に入り、社長は不在でしたので若い社員に要請書を手渡しました。
 争議の現状は、4月13日の第一回債権者集会をへて、ますます旧経営陣・佐藤一族に責任を果たさせる大きな運動の構築が求められています。3月26日再発足した支援共闘会議がこれから本格的に活動を進めていくことになっています。

団交拒否・組合潰し攻撃を続ける廣川書店経営
 廣川書店におけるMIC総行動は15時から15時30分まで行われた。経営側のビデオカメラによる監視と「当該代表者(役員若しくは管理職)の許可なく、部外者が当該敷地内に立ち入ることを禁止する。株式会社廣川書店」という貼り紙のもと、出版労連医学書院労組の筒井氏の司会により当該労組水野委員長の報告、碓氷MIC副議長(民放労連委員長)と支援対策会議議長岩波氏の連帯の挨拶、そして20年の争議を解決した偕成社臨労の川崎氏の報告と連帯の挨拶を受け、最後に被解雇者土屋久美子さんが決意表明を読み上げた。
 長野分室で21年近く本社と変らない、仕事をしてきた土屋さんに対する経営側の非人道的な解雇の不当性を訴え、仮処分における整理解雇4要件を無視した差別的決定を不服として本訴で闘っている報告があった。また、長野の両親に娘を預け単身上京し1年、ご支援をいただいている皆様のお陰で頑張って闘える感謝と、益々の支援を訴えた。当日の社前行動には29単組102名もの結集で大きなシュプレヒコールで終わった。裁判だけではなく、話し合いで解決し、労使関係の正常化を目指して粘り強く闘っている。

凸版印刷は非常識な面会拒否の態度を変えず
 全印総連凸版印刷労働組合が19人の組合員の賃金昇格差別の救済を都労委に申し立ててから1年9ヶ月が経過。次回第8回審問(5月10日午前10時より)で組合側総論立証が終了する予定です。都労委で優位を確保しながら、運動の力で早期の勝利解決をめざしています。4月18日には「板橋工場包囲昼デモ」を敢行し、350人の参加で大成功を収めました。大きなご支援に感謝するとともに、決意を新たにしているところです。
 4・13MIC争議支援総行動に対して、凸版印刷は、警備員を増強して、前回以上の敵対的な門前払いの体制を取りました。車道の両側を2時間以上も前から違法駐車で占拠し、宣伝カーの乗り入れを妨害しました。抗議集会はハンドマイクで行われ、畑MIC副議長が主催者挨拶し、全印総連東京地連、角川財団、大日本印刷の代表が連帯の言葉を述べ、当該関口委員長が決意表明しました。行動には82人(凸版から19人)が参加、この壁を必ず突き破る決意を込めてシュプレヒコールで結びました。

4.111夜の銀座デモ
 天気にも恵まれ、恒例の銀座デモが行われ、参加人数約420人。音楽ユニオンのデキシーキャッスルの演奏後、今井MIC議長、余語中央区労協副議長、高澤広告労協議長より主催者挨拶があり、碓氷民放労連議長より春闘決意表明、争議団紹介のあと海老原映演共闘事務局長の頑張ろう三唱で出発。夜の銀座通りに春闘勝利の声を響かせた。

裁判の判決をきちんと受けとめ、早期に対応を
 晴天に恵まれたMIC争議組合支援総行動のこの日、金融経済新聞には映演共闘会議副議長の緒方承武氏、民放労連書記次長の今田郁夫氏、出版労連からは橘田源二書記次長、組織争対の鈴木純子氏、キンケイ対策会議議長の伊藤潔氏、偕成社臨労の川崎恭治氏の六人と、解雇された当該の高橋勉副委員長の代表団が、高橋副委員長の職場復帰とそれを含めた争議の早期解決を申し入れました。
 朝九時半すぎ、受付で面会を求めると、キンケイ経営は労務担当であり、解雇事件の当事者である近松久義常務がこれに応じました。
 緒方副議長から、「(仮処分を含め)3回の裁判の判決をきちんと受けとめ、早期に(職場復帰に向けた)対応を図ってほしい」と要請すると、近松常務からは「その件は高裁で控訴審が進行中だ」と話し、まったく取りあわないような態度をみせました。これに対し、緒方副議長は「裁判でやっているからということではなく、お互いに話し合いで解決することが望ましい」と説明。会社側は、都労委で高橋問題を除き団体交渉で和解を進めていることをあげ、「早期に解決したいのは同じ思い」としました。
 十分足らず、応接室にも通されず、エレベーターの手前、玄関先での応対でした。
 

 
 

大盛況だった「裁判所を変えよう!4.4東京集会」
 自由法曹団東京などの呼びかけで、4月4日夜、千代田公会堂において表題の集会が行われ、会場一杯立ち見が出るほどの参加者で、大盛況だった。(MICも賛同団体に名を連ねた)
 最初は、ザ・ニュースペーパーによるコントで始まった。「そりゃないぜ!裁判官!!」が示すように、最近の裁判官の異常さが漫画チックに演じられた。次いで裁判闘争をたたかった二つの労働事件とえん罪で裁判をたたかっている当事者の訴えが行われた。(全印総連の組合員でもある長崎さんのえん罪事件の当日の報告は後述)
 後半は、四位弁護士をコーディネーターに各界四人(安部晴彦元裁判官、川田悦子衆議院議員、熊谷金道全労連副議長、坂本修弁護士)によるパネルディスカッションが行われた。
 最高裁の意志に反する判決をだした裁判官は、@賃金での差別、A任地での差別、B仕事での差別(希望の部署につけず、家裁等にまわされる)等々驚くべき事態が報告され、裁判のひどい現状となぜそうなっているのかの背景が、具体例をもと鋭い問題提起がなされた。
 
 
 

 
 

私は痴漢をしていません。
痴漢えん罪「長崎事件」被告人 長崎 満

 1997年10月1日、私は朝の通勤電車の中で痴漢に間違われ、池袋警察署に21日間勾留され現在裁判をしています。私は、痴漢などしていません。この3年間ずっと「私は何もしていない」と無実を主張してきました。そして裁判では、私を犯人とする証拠は女性の証言しかありませんでした。私も、家族も、無罪を確信していましたが、昨年の3月13日東京簡易裁判所で罰金5万円の有罪判決を受け、12月13日は東京高裁で控訴棄却となりました。証拠は何もありません。しかし、裁判官は、私の言っていることは嘘で、女性の言っていることは真実だとして、犯人に間違いないと断じたのです。
 私はその日、いつもと同じように毎日乗っている西武池袋線の練馬駅8時16分発の各駅停車に乗っていました。そして、鞄を体の前に両手で持って立っていたのです。電車が池袋駅の一つ手前の椎名町駅を発車すると少しして、私の前に立っていた女性が、「やめろ」とかいうようなことを大声で怒鳴りながら、鞄を持つ私の手をつかんだのです。私は考え事をしていて一瞬何のことかわからなかったのですが、ふっと、電車の揺れなどで体や手がぶつかったのかと思い、そんなことを怒っているんだろうと思って「すみません」と謝ったのです。すると、女性は前にもまして怒り出して、私のネクタイを掴むと「逃げたらどうなるんかわかっとるんやろうな」と威したのです。
 女性があまりにも興奮しているので、私は、駅の事務室へ行って駅員と一緒に話をした方が良いと思い、池袋駅の事務室へ行ったのですが、駅員は私の話をまったく聞いてくれず、「女性が訴えると言っているので警察を呼びます」と告げたのです。そして、警察官が来たので、私は「何もしていません。ここで事情を話します」と言ったのですが、警察官も私の話をまったく聞こうとはせず、「貴方を逮捕するわけでもなんでもない。ここでは西武鉄道の仕事の邪魔になる。ちょっと事情を聞くだけだから交番に来てほしい」と私を池袋警察署の取調室に連れて行ったのです。そして取調べでは、「おまえが嘘をついているのはわかっている。早く白状しろ」、「被害者がおまえを犯人だといっているんだ」、「おまえしかいない」と最初から犯人扱いで私の話などまったく聞いてもらえませんでした。私が驚いて「弁護士に電話をさせてほしい」と言うと警察官は、「おまえは逮捕されているんだ。そんな勝手なことをさせるか」と言ったのです。そしてその日から21日間勾留されてしまったのです。

自白を迫る検察
 また、検察庁での取調べで検察官は、「貴方と取引するわけではないが、(痴漢をやったと)認めれば留置場を出してあげる」と嘘の自白をするように迫ったのです。
 裁判で被害者という女性は、「電車は混んでいて痴漢の手も腕も見えなかった」、「しかし、痴漢の手は触られ方で左手だとわかった」、「左手だとすれば左側に立っている男が犯人であり」、「痴漢の手を払いのけて左側に立っている男の背広の下の方を掴んだ」と証言しました。どうして、これで私が犯人なのでしょうか。女性は、私が「すみません」と謝ったのだから痴漢に間違いないと言っています。検察官も、この「すみません」を痴漢を認めての謝罪だと主張し、裁判所もこれを根拠に私を有罪にしたのです。
 また、私は女性に対して「私は何もしていないですよね」といったのですが、女性はこの言葉を「聞いていない」と言い、かわりにお金での解決を私が提案したと証言しました。私はそんなことは絶対に言っていません。私が言った「私は何もしていないですよね」という言葉が聞こえなかったというのであれば、池袋駅の騒音のなかで聴き取れなかった言葉をお金問題だと想像で解釈したのだと、池袋駅での騒音調査を行いその結果を証拠申請しました。しかし、私の無実の証拠として申請したこの騒音調査結果を、「取調べの必要なし」の一言で裁判所は却下したのです。証拠を取り調べることもせず一方的に決めつけるこんな裁判が公正なのでしょうか。

全国で200件の痴漢事件裁判
 日弁連が痴漢えん罪がどうしてこんなに多いのか、2月6日にシンポジウムを開き、私も痴漢えん罪の被害者として報告をしました。そのシンポジウムで配布された資料の中に、最高裁発表の痴漢事件裁判に関する資料がありました。平成2年から11年までの10年間に、痴漢事件(条例違反事件)で無実を訴え裁判をしている人が全国の簡易裁判所で200名以上いて、その判決の結果が出されていましたが、そのなかで無罪となった人は誰もいませんでした。すべてが有罪とされていたのです。そして昨年、テレビをはじめマスコミが「痴漢に間違えられて裁判をしている人がいる」と報道しだすと、初めて無罪が出だしたのです。背景には、みなさんに支援されてたたかってきた大きな運動と、動き出した世論がありました。しかし、裁判の仕組みや裁判所の体質は何もかわっていません。痴漢えん罪は許さないという声がなくなってしまえば、また、多くの無実の人が犯人として有罪とされていくし、今日々痴漢えん罪がおこっているのです。今、司法改革が行われようとしています。私の裁判のように、証拠がなくても平気で有罪とする、非常識な裁判所と裁判官を変えなければなりません。陪審制をはじめとした市民の側からの司法改革がどうしても必要です。
 昨年の高裁判決のその日、私は無罪の判決を確信していました。無罪がでるのが当たりまえと思って、妻といっしょに小学校4年生になる娘を傍聴に連れて行きました。いままでつらい思いをさせた娘と無罪を喜びたいと思ったからです。そんな娘に有罪の判決はどんなにつらいものだったでしょうか。娘は私と妻に寄り添って法廷の中でずっと泣いていました。親にしかられたり、友達と喧嘩したりして泣いたことはあるでしょうが、親が痴漢の犯人として有罪にされて流した涙を、その娘の姿を私は一生忘れないと思います。
 今、最高裁判所に上告をして、無実を主張しています。たかが罰金5万円の事件ですが、私と私の家族にとっては、一生の問題です。無罪を勝ちとるために頑張っていきます。どうか下記の集会をはじめ、皆さんのご支援をよろしくお願いします。
 
おかしいぞ!日本の司法
痴漢えん罪 長崎事件を考える市民の集い

 日 時:5月29日(火)6:30〜
 会 場:千代田公会堂
 参加費:500円

問い合わせ先:あかつき印刷労組
(TEL・03−3497−0535)

 

 
 
照屋闘争解雇撤回・職場復帰!
裁判所で和解成立

 昨年4月28日に突然解雇を言い渡され、5月2日には宅急便で解雇通知が送りつけられるという経過で始まった私の解雇撤回闘争は、11ヶ月目にして、解雇の撤回及び、社員としての全ての権利を解雇時に遡って回復し、職場に復帰するというかたちで解決することができました。これまでに、たくさんの方々から暖かい励ましとご支援をいただいたことに、心から感謝し御礼を申し上げます。
 解雇されて11ヶ月間、ここまでがんばって来られたのは、フォックスをはじめ多くの職場のみなさまのお力添えのお陰です。またMIC、映演共闘、外資共闘など労働組合の支援の力だと思います。はじめてあった方に激励の言葉をいただいたり、物品販売に協力してくださり、知り合いの方に呼びかけてもらうなど、それまでの自分にはまったく想像もできなかった、さまざまな力に支えられてきました。それなくしては恐らくこの争議を乗り切ることはできなかったでしょう。みなさま本当に有難うございました。これから職場に戻っても、今回の経験が自分を支えてくれると信じ引き続きがんばります。今後ともよろしくお願いします。

2001年4月 照屋和佳子(映演共闘・全洋労)

 

 

 
中央労働委員会労働者委員の
偏向任命に対する抗議声明

2001年4月2日
労働委員会民主化対策会議(MIC 純中立懇 全労連)

1.政府・厚生労働省は、4月1日、独立行政法人発足に伴う中労委労働者委員2名の増員について、われわれの推薦する全労連副議長・熊谷金道氏を排除し、またも連合の推薦する候補のみの任命を強行した。度重なる組合間差別は、国家的不当労働行為ともいうべき暴挙であり、われわれは強く抗議する。
2.連合と全労連が発足してより12年間にわたり、政府・旧労働省は「行政の裁量権」を楯に、一貫して連合の推薦する候補に中労委労働者委員を独占させてきた。これは、憲法14条の「法の下の平等」はもとより、政府が批准しているILO87号条約にも違反し、旧労働省が自ら発した「54号通牒」に照らしても、極めて不当である。しかも、今回の偏向任命は、この間の経緯からみても、従来に増して、極めて不透明で説得性に欠けるものであり、「恣意的判断」が強く働いた感をぬぐえない決定といえる。
3.旧労働省は1999年労働組合基礎調査の方法を改めた。これに伴い、それまで実態より過小に評価されていた全労連は、政府がナショナルセンターの基準としてきた組合員100万人を超えるにいたった。この事実に基づいて、政府は昨年のILO総会に初めて全労連を日本の労働者代表としてオブザーバー参加させるなど、政府・厚生労働省自身が全労連をナショナルセンターとして認知してきたのである。この経緯に照らすならば、今回の偏向任命は明らかにこれまでの経緯を無視したものといわざるを得ない。
4.しかも、今回増員の対象となる独立行政法人移行の60法人をみると、法人数では全労連系の組合がある法人の方が多く、組合員数は今年の移行時で連合系とほぼ拮抗しており、3年後の国立病院・診療所の移行時には、圧倒的多数が全労連組合員という事実にも目をつぶった決定となっている。
 さらに、熊谷氏は独立行政法人に移行する労働組合の一つ旧全通産労組の出身として公務労働に精通し、全労連の事務局長・副議長を12年も務めるなど、本人の経歴や力量からみて中労委労働者委員に最適の人物である。即ち、どういう角度から検討しても、熊谷氏の任命は当然であり、世論的にも10数年におよぶ不公正な労働行政を正す絶好のチャンスとして期待されていた。
5.独立行政法人の労働者に対して、中央労働委員会は、争議行為が制約されていることに対する代償措置としての位置づけを持ち、国営企業および特定独立行政法人の労使紛争には強制仲裁制度が設けられている。労働関係調整法の仲裁制度と違い、一方の申し立てにより行え、「委員会の裁定に対しては、これに服従しなければならない」とされている。
 仲裁委員は、公益委員のみによって構成されるが、公益・労・使の3者が関与するあっせんないし調停が前提とされており、仲裁の段階でも、関係組合が指名した労働者委員は仲裁委員会に出席し意見を述べることができることから、労働者委員の活動は仲裁裁定へ労働組合の主張を反映させる上で重要な役割を果たす。現在、特定独立行政法人の労働組合は、連合系、全労連系および協力関係にある中立労組とにほぼ2分されている。両者は賃金などでも要求が異なる状況であり、労働組合の系統の違いが一定の対立関係を内在していることなどを考えれば、連合系が委員を独占した場合、全労連系の主張を正確に反映する委員の活動が期待できないおそれがあり、労働基本権制約の「代償」たる強制仲裁制度に十分な期待を寄せ得ない。
 また、独立行政法人の不当労働行為は、中央労働委員会がもっぱら管轄するが、不当労働行為をめぐっては、連合系と全労連系の差別取扱いの是正が申し立てられる場合も想定され、その際、申し立て組合が、労働者委員との間で、理解と信頼を築くことが困難になる可能性が高い。旧労働省の54号通牒はこうした背景を考慮して発っせられたものであり、歴史的な経緯を無視し特定の潮流に肩入れした委員の任命は極めて不当である。
6.今回の偏向任命は、KSD疑惑への厚生労働省幹部の関与が明白になる中で行われたため、行政への信頼をますます失わせるものとなった。
 われわれは、歪んだ労働行政を正す上でも、労働者・国民に開かれた行政を求める上でも、今回の偏向任命を厳しく糾弾する。同時に、国会での質問、ILOへの提訴、行政訴訟など、あらゆる手段を駆使して、広く世論にはたらきかけ、今後の公正任命を強く求めていく決意である。

 

 

 
 表現の自由を規制する
個人情報保護法案に
反対する共同アピール

 今国会に提出された「個人情報の保護に関する法律案」は、このままでは「個人情報の保護」という本来の目的に反し、むしろ政治家や官僚などがジャーナリズムや表現活動に新たな制約を加えるための法的武器を与えることにもなりかねない。
 もともとこの法案は、国や公共団体が保有する個人情報を国民が自己管理することを促し、民間事業者が保有する個人情報の商業目的による不正流出などを規制するために立法化が始められたものである。それが実際に上程された法案は、ジャーナリズムを含む民間全体を取り締まる法に性格を変え、言論・報道機関を信用情報業者や名簿業者と同列に置いて主務大臣がこれを統轄するなど、表現の自由への公権力の介入に道を開き、取材・報道・表現活動を様々な形で制約する危険性を持つ内容となっている。
 法案は「基本原則」をすべての個人情報取扱事業者に適用するとしており、もしこれが取材・報道・表現活動並びに学術研究活動に適用されれば、「適正な取得」「透明性の確保」などの5原則にもとづいて、取材過程の開示や記事・研究論文の削除が求められることにもなりかねないし、原則違反を理由に裁判に訴えられる怖れさえある。そうなれば取材源との信頼関係は根底から揺らぐことになり、取材・報道・表現活動が大きな制約を受けるのは火を見るより明らかである。
 確かに、第55条(適用除外)で、「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関」が「報道の用に供する目的」で取り扱う個人情報については「義務規定」を適用しないとしている。しかし、この適用除外には出版社やフリーランスの作家・ジャーナリスト等は明記されておらず、しかも「報道の用に供する目的」と言論表現活動の中の極めて狭い範囲に限定されているため、それ以外の領域が主務大臣の改善・中止命令や刑罰など政府の直接的な統制のもとに置かれることになる。学術研究機関についても全く同様の問題を指摘することができる。表現の自由等への配慮を求める規定もあるが、乱用の防止やチェックを具体的に担保する仕組が設けられていないため、実効的な歯止めは期待できない。
 以上のような理由から、私たちは、政府が提出した「個人情報の保護に関する法律案」に断固反対するとともに、メディアを始め表現の自由に関わる分野については、この法律の対象外とすることを強く要求する。
2001年4月11日

<呼びかけ人>
阿刀田高(作家) 石坂啓(漫画家) 井上ひさし(劇作家・作家) 井沢元彦(作家) 猪瀬直樹(作家) 
梅原猛(哲学者) 江川紹子(ジャーナリスト) 加賀乙彦(作家) 鎌田慧(ジャーナリスト) 佐木隆三(作家) 佐野洋(作家) 関川夏央(作家) 田原総一朗(ジャーナリスト) 筑紫哲也(ジャーナリスト) 辻井喬(作家) 鳥越俊太郎(ジャーナリスト) 西木正明(作家) 三田誠広(作家) 三好徹(作家) 森詠(作家) 森村誠一(作家) 吉岡忍(ノンフィクション作家) 吉永みち子(作家) (以上50音順)
角川歴彦(角川書店社長/日本雑誌協会理事長) 白石勝(文藝春秋社長/日本雑誌協会編集委員長)
渡邊隆男(二玄社社長/日本書籍出版協会理事長) 古岡秀樹(学習研究社常務/日本書籍出版協会常任理事)