【第24回IFJ世界大会に参加して】

MIC議長 今井一雄

1.6月11〜15日の、表記世界大会にオブザーバーとして参加してきました。事務局長の報告をめぐっての、各国の発言で感じた事を先ず申し上げます。
 (1)80余か国250の団体からの参加、そのうち40%が女性というマンモス会議で、一人わずか3分とか5分の発言しか許されません。アジア、アフリカ、中南米、中近東などの国々からは、言論機関が厳しい法律でしばられていたり、いわゆる言論財閥によって支配されているために、言論の自由はなく、弾圧に抗して闘っていることが報告されました。ジャーナリストが攻撃の的になっているばかりか、政府批判がもとで投獄や虐殺にあっているとの驚くべき現実が、この時代にありふれていることを聞き、正直なところ仰天した次第です。
 従ってそういう国々では、IFJに対する期待も大きく、特に地域単位の活動や協調を求める声がたくさん出ました。そしてIFJの活動を通して、少しずつ法律を変えさせたり民主化の進展を図っているとのことでした。
 その点欧米の言論労組は、著作権の問題、労使の対話、フリーランサー、ジャーナリスト間の情報交換などの問題提起が多くなされました。
 (2)そうした意見に対して、事務局長の答弁は以下のようなものでした。
 深刻な言論の危機は、ヨーロッパだけでなく世界的な傾向である。ジャーナリストの安全の問題に関しては、行動を実行に移すその方法を考えたい。IFJは闘争、紛争があれば世界的に支援できる組織である。そのためには紛争の兆しを見つける努力が必要。事前に予想できなければならないし、突然では対応できないことがある。能動的に介入するためには、情報を提供して欲しい。
 言論機関は政府に敵対的であり、闘うためには財源の確保が大切である。団結の問題は難しいが、我々には国際的なレベルの団結が必要で、そのためには国内的な団結、声を一つにまとめなければならない。
 急務なのは、ネットワークの構築である。情報をツールとして使わねばならない。また女性の問題にも従来以上にとりくまなければならない。
2.14日には、教科書問題に関する特別決議が採択されました。

 韓国言論労連から事前に私に話があり、韓国記者協会との共同提案となりました。その基になっているのは、6月2日に東京で行われた「教科書問題日韓共同シンポジウム」の韓国言論労連とMICの共同宣言です。
 ただこの大会で(突然)提案され、説明も不十分でしたし質疑応答もなかったため、私には韓国や香港などアジアの代議員以外の人達に、ただでさえ複雑怪奇な教科書問題をどこまで理解してもらって採択されたのか、心もとありませんでした。しかし、本質的にはこの問題はジャーナリストの問題でもあると私は考えていますので、こういう大会の決議は歓迎します。
 このこととは別の話ですが、7月10日には韓国・ソウルで、中国・北朝鮮・韓国・日本の4か国で「日本教科書問題東北アジアシンポジウム」が開催されることが決まりました。積極的に参加する予定です。
3.13日に、言論労連が「言論改革・新聞改革」を掲げてストとデモを決行しました。
前日の大会でアメリカの代議員から「連帯しよう」との呼びかけが行われ、IFJの地域代表30人が参加しました。デモは1300人にもなり、言論労連の幹部は、新聞の要求でこんなに人が集まったのは前代未聞だと言っておりました。(要求内容は<注>を参照)。
 なお韓国では6月は闘争の季節(6月総力闘争)とかで、1か月にわたりデモ、集会が繰り広げられます。
4.日本のIFJ参加単産は、日放労、新聞労連、民放労連ですが、いわゆるIFJ日本支部のような形にはなっていません。もっとも他国でも潮流の一方の代表しか参加していない国もありますから、不思議ではないのですが、できたら一つにまとまって、必ずしもIFJに加盟していない単産やジャーナリストも包括できる組織があればいいなと、私は感じました。
 また欧米のみならず、いわゆる発展途上国のジャーナリストとその組織は、言論の自由やジャーナリストの権利・安全、女性の問題で、日本に比べて先鋭的に「闘って」いるという印象を持ちました。通信と交通の発達は地球を狭くしました。日本の国内だけで労働運動を考えていては(資本は地球的規模でつながっているのですから)、時代に即した展望も開けないし、健全な発展も難しいのではないかと、強く思った次第です。

以上

<注>6月総力闘争の意味と5大要求の内容
 全国言論労働組合が製作拒否という時限付きのゼネストに突入したのは、新聞改革を勝ち取るという時代的な課題に総力を集中させることによって、言論産別発足初期における大同団結を果たすという意味合いが大きい。同時に、新聞改革は、現場に従事する労働者たちが主体勢力として登場すべきという自覚と、資本・権力・言論の癒着関係の中で労働者たちが自分の役割を果たせなかったという痛みある自省ゆえの実践的行動と言えるだろう。闘争決議文は、「去る50余年の間は軍事独裁と権威主義体制の下でうなだれ、依然として資本と権力に向かって堂々たる声をあげられずにいる」と指摘し、「こうした恥と原罪を払拭するため、闘争に立ち上がる」と明かす。
 この度の総力闘争は’97年の労働法ゼネストの際に全国の言論社が参加して以来の二度目のことであり、新聞社の労働者たちが同一目標のために単一隊伍を形成するのは初めてのことだ。
 言論労組は、今回の闘争において実質的な成果をあげるため、政府による言論機関所有の改革、新聞の共同配達制実施、無能な経営陣の退陣、定期刊行物法の改定、税務調査結果の公開などを要求し、文化観光部の国会文化観光委員会・新聞協会を対象に協議団を組む方針である。
●政府による言論機関所有の改革  
 大韓毎日は、財政経済部(49.98%)、ポハン製鉄(36.73%)、KBS(13.25%)などが全体株式の99.9%を所有している、代表的な政府所有の言論社である。このため『大韓毎日』はいわゆる「管制言論」「政府のラッパ手」などと指摘されてきた。連合ニュースも、KBSやMBCなど放送各社の持ち分率が74.5%となっており、政府は一位株主であるKBSなどを通して間接的に大株主権を行使し、天下り人事による多くの弊害をもたらしてきた。
 両社の支部は、すでに昨年から「所有構造改編推進委員会」を構成して連合ニュース司法財政、ウリ(訳注:われらの)社主を通じた民営化法案などを提出したが、政府や社側の対応には温度差があり、実質的な効果はおさめられずにいる。言論労組は、両社の所有構造改編が政府の言論改革に対する意志を確認する道であり言論改革の始発点であるとするところに意見を集約させ、6月の闘争を通じて、これを積極的に推し進める方針だ。
●新聞共同配達制の実施 
 現在、新聞販売市場では無料紙や豪華景品などの不公正取引きが乱舞している。販売促進や広告拡張のために散布される無料紙だけでも全体部数の30%に達し、読者の手に渡ることもなく廃紙・処分されるものの数字もおおよそ20%に肉迫している。
 言論労組は、このように歪んだ新聞市場の正常化のため、現在すべての新聞社が各々構築している配達網をひとつに統合することを骨子とする「新聞共同配達制」の導入と公司(会社)の設立を要求している。去る4月に言論労組が実施した研究によれば共同配達制を実施する場合、既存の1900億ウォンの営業収益以外に、その87%に相当する1648億ウォンの収益を追加で上げられることが明らかとなった。
●無能な経営陣の退陣 
 言論労組は、韓国の新聞の病的な弊害である、社主による論調への不当な介入とずさんな経営が言論改革を阻む主犯のうちのひとつであると判断し、言論の私有化阻止と無能な経営陣の退陣闘争に臨む。
 韓国日報の場合、経営陣の無能さと弛みによって、’99年現在363億9千万ウォンの赤字を記録した。去る’98年の赤字はおおよそ5百億ウォンにのぼる。これは中央の言論社のうちで最も高い数値だ。韓国日報は、全体株式の35%ほどを所有しているチャン・ジュンホ氏をはじめとするチャン氏一家が全体株式の72.4%を所有している族閥経営の代表的な例である。
 コリアヘラルド内外経済社のキム・キョンチョル社長も組合の意見を聞くこともなく分割売却を強行するなど、独善的な経営に一貫し、構成員の反発を買っている。
●定期刊行物法の改定 
 昨年11月、国会に立法の請願をした定期刊行物法改定案は、所有制限と経営の透明化、編集権の独立権などを主要骨子としている。改定案では、族閥社主の所有株持ち分が30%を超えないよう制限し、新聞企業の透明性確保条項も新たに設けた。編集委員会の構成、編集規約制定を義務化するよう規定し、編集権の独立にも重きを置いた。編集委員会は、使用者と取材または編集活動に従事する労働者の代表者により同数の編集委員で構成し、編集委員の過半数出席と賛成によって議決する。
 この他にも「相対的に少数であったり利益追求の実現に不利な集団・階層の利益を忠実に反映させるよう努力しなければならない」という条項を明示し、言論の公益性を強調した。
●税務調査結果の公開
 言論労組は、言論機関の税務調査結果の公開が権力と言論の癒着疑惑を一掃するのはもちろんのこと、言論改革の出発点であると判断し、このための大衆運動を展開していく。
 国税庁と一部の政治勢力などでは調査資料が企業営業上の秘密に該当するので国税基本法に従って公開することはできないと主張しているが、言論機関の税務調査が政治的な物議をかもし出している以上、国民の知る権利を充たすためにも必ず公開されるべきだ。言論労組は、今後、税務調査の終了時点に合わせて国税庁の前にて結果公開を求めるための一人リレーデモはもちろんのこと、引き続き情報公開運動と大衆集会を展開していく計画だ。 (言論労連機関紙6月7日号)
 

 
 

日韓協同シンポジウム
            
 
                               
<画期的な「海を越えた」労働者の連帯>
 みなさん覚えていますか、4年前、金泳三政権による労働関係法の大改悪攻撃に抗して、韓国の労働者たちが命をかけて自分たちの生活と権利を守るために、極めて組織的にたたかっていたことを。僕は、当時熱い共感をもって新聞・TVを見ていました。そのことを思い出すのに、彼らと出会ってからそう長い時間を必要としませんでした。文部科学省(以下、文科省)前で彼らの歌う労働歌を聴きながら、僕の体の中であの時の熱さがよみがえってきたのです。彼らとは韓国・言論労連の仲間たち。そう、まったく仲間たちです。
 去る6月1〜2日、MICと韓国・言論労連が教科書問題をテーマに2日間共闘したのです。「ナ、大げさな」と思われるかもしれませんが、僕は実に画期的なことだったと思っています。つまり、今回の2日間の一切は、日韓のマスコミが企画したものでも、あるいは知識人の教科書問題に関する危機感から発想されたものでもないということからそう思っているのです。
 1996年から日本という国家に対してとてつもなく大きな力をもつ人たちのもとで用意周到に準備され、実行に移され、いま着実に仕上げ段階に入った第三次教科書攻撃に対して行った反対運動の一環として、日本の労働組合であるMICと韓国の労働組合である言論労連が共同でとりくんだものだということです。そう、誤解を恐れずにいえば、単なるマスコミ人ではない、日韓のマスコミ労働者(組合)がつくりだした2日間だったのです。この問題では、大きく国民世論に訴えていくことがとても大事なことです。いま大きく盛り上がりを見せている市民運動と力強く連携をしていくためにも、労働組合運動としてのとりくみの広がりと実行力が求められていた、まさにそのときにもたれた2日間共闘だと考えるのです。
<2日間のたたかいと交流>
 以下、彼らとともにたたかった2日間の、なかでも韓国の仲間たちのたたかいを中心に、僕の目に映った特徴的なところだけを報告します。
 6月1日午後、文科省前での韓国スタイルの集会からはじまりました。のっけから驚かされることだらけです。開会直後にいきなりはじまった労働歌の歌い上げや、シュプレヒコール(のようなもの)を集会の半ばで(お終いの方ではなく)集会の態勢そのままで、つまり文科省に背を向けたまま発声する等々。
 文科省交渉でみせた言論労連委員長・崔さんの穏やかだが確固とした意思を感じさせる「日本政府の対応次第では世界的な連帯を求めていく」という発言。
 夜は歓迎会。一人ひとり自己紹介を兼ねて発言。教科書問題をどうとらえているかといった点を必ず語る闘士たちは、ゴツゴツとしているなかにもユーモアたっぷりの人間味あふれるトークで共闘1日目はいやがうえにも盛り上がっていき、目に見えて連帯感が深まっていくようでした。もちろん日本代表(?)も負けてはいなかったことを付記しておきます。
 翌2日はシンポジウム本番の日。予想に反して(?)参加者が少ない…。韓国側は、今回急な設定にもかかわらず20名をこえて来日したというのに、日本の良心的な市民、学生、労働者はどうした!何より日本のマスコミはどうした!知らないはずはないだろう!と、叫びたくなった人は多かったようです。しかし、人数は少なくても熱気と緊張感のある集会であったと僕は今でも思っています。
 2日間共闘の最後は歓迎レセプション。歌好きな彼らのリードで異様な盛り上がりをみせたことだけをお知らせしておきましょう。もちろん2日前にはなかった労働者的な国境を越えた連帯の深まりが基礎となっていたことは言うまでもありません。
<今ふりかえって>
 僕自身、感性的なものを含めて学ぶことのとても多かった2日間でした。とにかく凄いんだ、彼らの労働者的パワーは!
 感心させられたのは、今回の教科書問題に対する言論労連としてのとりくみが、組合運動としては必ずしも十分にできていないことをはっきりさせながら進めていると言われたことでした。正直なのです。つまり、韓国におけるこれまでの教科書問題での運動は、基本的には韓国政府主導の官製のものであったということ。しかし今回は、いささか違っていて市民運動的な盛り上がりとなっていることから、運動をマスコミ労働者らしく自前でつくり上げていかなければならないことからくる悩みや大変さを抱えつつ、しかし前に進んでいこうという気迫が感じられたことです。実は、こうした感想を抱くようになったのはシンポジウム本番を見聞きしたからだけではありません。いやむしろ、番外編(?)での彼らとの交流のなかで感じとったものだということができるかもしれません。MIC議長・今井さんが韓国労働運動へ強く思い入れる理由がわかったような気が、少しですがしています。
 世界に冠たる平和憲法の第9条に手をつけたがっている連中が大手を振って闊歩しているこんな危険な時代だから、マスコミ労働者の使命は今とても大きいものがあると思います。なぜか!? 国民に真実を伝え、むごたらしい結果をもたらす戦争だけはさせてはならないからです。教科書攻撃はその尖兵です。

(出版労連・平川修一)

 

 
 
 

 
 マスコミ関係者や住民ら43人の命を奪った長崎県雲仙・普賢岳の大火砕流災害から10年。災害翌年の1992年から始まった「市民とマスコミの対話集会 雲仙集会」が2日、地元島原市の島原文化会館で開かれた。災害を教訓に、報道のあり方を考えてきた集会も、10回目の今回で幕を閉じた。
 91年6月3日の大火砕流で亡くなった人の中には、新聞・放送などのマスコミ関係者16人もいた。取材中の3人を失った毎日新聞労組は、犠牲者の追悼のためばかりでなく、災害や被災地復興に向けた報道のあり方をも探ろうと、翌年に島原で新聞研究と市民交流の2集会を開催。さらにその翌年からは新聞労連、民放労連の各九州地連などの団体と実行委員会をつくり、集会を運営してきた。実行委は、集会が災害報道を考えるうえで一定の役割を果たすことができたことや、地元の復興が進んだことなどから、10回目で区切りをつけることを決めた。
 災害から10年を経て、島原は復興の歩みを進めている。一方、「雲仙後」の10年間、阪神・淡路大震災をはじめ、北海道・有珠山、三宅島の噴火などさまざまな自然災害が発生し、三宅島の住民は今も全国各地で避難生活を強いられている。復興への努力を続けている新たな被災地の「これから」に、復興の道を踏みしめている島原の「今」を生かしてほしい、との願いを込め、今年の集会テーマは「つなごう 島原の今」とした。
 集会には約150人が参加した。山口仁実行委員長(NBC長崎放送労組)が「雲仙の教訓を他の被災地にも生かしたいというのが、集会の使命。よりよい復興のために、マスコミ労働者として協力したい」とあいさつ。43人の犠牲者のために全員が黙とうを捧げたあと、来賓の吉岡庭二郎・島原市長もあいさつした。
 【第1部−災害と報道を考える】
 集会は3部構成。第1部の「災害と報道を考える」シンポジウムは、有珠山噴火の被災地・虻田町から町づくり・復興計画委員会委員の富山隆介さん▽三宅島社会福祉協議会職員、三谷彰さん▽島原市から安中地区町づくり推進協議会会長、大町辰朗さん▽マスコミ代表として、雲仙や阪神などの被災地で取材した毎日新聞福岡総局(RKB毎日放送に出向中)の神戸金史記者が参加。コーディネーターは民間の防災シンクタンク、社会安全研究所の木村拓郎所長が務めた。

 三つの被災地代表は、それぞれ復興や被災の現状報告をした。大町さんは「地区のかさ上げや基盤整備工事は終わったが、住民の心の再建が課題。心の修復をやっていきたい」。富山さんは「噴火の周期が短く、経済的な打撃が大きい。今後も確実に噴火する有珠山との共存を模索している状況。噴火災害について意見交換できる場所が必要と思う」と述べた。三谷さんは「火山ガスの噴出のため、避難生活がいつまで続くか分からず、先の見通しが立たないのがつらい。しかも避難先がバラバラで、島民のきずなをどう保つかが難しい状態になっている」と訴えた。
 また、マスコミへの評価で、大町さんは時間の経過に伴って3段階に変化したとして「災害当初は、一切関わりたくなかった。災害が長引くと、島原のことが全国に報道されることで力づけられた。今は、観光の町としてマスコミに力を借り、客を呼び戻したい」と述べた。富山さんも「観光地なので、うまく利用しつつ安全面をアピールして客を呼び込みたい」と率直に話した。三谷さんは「島民はまだ島に入れないのにマスコミは3月に入っている。どんな工夫をすれば住民の一時帰島が実現できるのか、提言してほしい」と注文した。
 これを受け、神戸記者は「島原の災害では、マスコミが事件の当事者になってしまったことで気持ちが引いてしまい、その後の現場と、会社や労組という組織の間に感覚の違いが出た。住民の不信感も大きかった。災害報道では、記者が市民として被災地に常駐して書き続けるのが理想。腰の据わった息の長い報道が問われているのに、三宅島を見ていると、マスコミは変わったか疑問だ」などと語った。
 木村所長は「島原で始まった食事供与事業や義捐金を基にした災害対策基金などの制度は、他の被災地にも影響を与えており、学ぶべき点はまだまだ多い。しかし、噴火災害のたびに被災者が署名活動などを強いられる状態は変わらない。災害に共通の支援策をつくるべきだ」と、法や行政の不備を指摘した。また、マスコミに対しては「復興段階での取材は、まだ手法が確立されていないが、誰のため、何のための取材かを考え、被災者支援を常に基本姿勢とするべきだ」と述べた。
 
 【第2部−和太鼓と詩の朗読】
 地元の和太鼓集団「和道・深江太鼓」の4人が登場。噴火を思わせる勇壮な響きと、息の合った見事なチームワークを披露した。太鼓の「動」から、一転して「静」の朗読をしたのは、島原市職員で「シマバラ表現主義クラブ」主宰の内嶋善之助さん。噴火を撮影するのに適していたため、結果的に多くの報道関係者らが大火砕流の犠牲になった場所「定点」を巡る新人の新聞記者の物語を、普賢岳の写真やフルート演奏をバックに語った。
 
 【第3部−鎌田慧さんの講演】
 フリージャーナリストの鎌田慧さんが講演。鎌田さんは91年、現地取材で警戒区域に許可なく入って書類送検(不起訴処分)された経験を「悪いことをしたという気持ちはなかった。住民が僕の記事や写真で『被災の状況が分かった。ありがとう』と言ってくれたのがすごく救いになった」と振り返った。
 また、災害10年でマスコミ報道が集中していることに関連し「10年に1回でもいいから来た方がいい。新聞記者がワーッと行くのがいやだなあ、と記者が感じているとしたら、間違っている。行って何をするのか、なぜ自分が記者になったかが明確になっていないからだ」と指摘。「何のために報道するのか、何のために、誰から取材し、誰に向かって発言するのかが問題だ。事件の時、遺族に話を聞くのが悪いという風潮があるが、あれは方法が稚拙なのが悪いので、遺族ときちんと向かい合ってその気持ちを伝えなければならない。どんな被災者にも、1日も長く伝えてほしいという気持ちがある」と語った。
 さらに、報道する姿勢として「原発事故のように明らかに危険なところに入ってはいけないが、なぜ報道するかが明確ならば、ある程度の危険は許容しなければならない。『定点』で取材していたことは悪いことではなかった。(巻き添えになった)運転手さん、消防団員の問題は、別個の問題であり、切り離して議論しなければならない」との見解を示した。
 被災からの復興については「単にハードをつくるのでなく、住民のつながり、コミュニティーの絆を以前のように強めることが復興。住民の生活を元に戻すために、為政者に英断を迫る世論をつくるのがマスコミの責任と思う」と語った。

(毎日労組西部支部)

 

 
 
 

MIC個人加盟組織学習討論集会

 6月9日午後、MIC個人加盟組織学習討論集会が出版労連会議室で開かれました。
 今回は全日本建設交運一般労働組合の坂田晋作副委員長、都区関連一般労働組合の前澤檀書記次長、特別報告としてUNI−MEIの議長トニイ・レインさんに各々報告していただきました。その内容は以下の通りです。
坂田さん(建交労)
 まず、究極の組織論はないと思っています。組織は生き物であって、個人加盟は唯一無二ではありません。財界・企業の戦略が変われば組織も変えるというように、固定した考え方を変えていかないといけない。
 99年に建設一般、運輸一般、全動労の3つの単産が統合して建交労ができましたが、最初、全労連内部でも議論がありました。労組幹部にも産業別が基本だという固定観念があり、なぜトラック、タクシー、鉄道などで組織するのかと。しかしJRでいうと運転手はたかだか14万人、それ以外にホテル、駐車場など他業種が50万人もいるのです。これらの企業戦略に柔軟に対応する組織戦略が必要と思い、それには個人加盟が柔軟に対応できると考えました。しかしすでにある企業別労組も無視できません。だから規約で労働組合も入れるようにしています。
なぜ個人かというとひとりでも交渉権があることが強みです。労働組合は交渉力です。日本の労働組合の弱点である企業の枠を超えた、すべての労働者を視野に入れたたたかいができます。正規雇用労働者と非正規労働者の両方を視野に入れることができます。
 要求闘争と宣伝と組織は三位一体です。組織をどう強化するかということと、組織を大きくすることは同じです。自分の要求を通すには組織が大きくないといけない。このことをいかに自覚するかが問題です。機関活動、交渉権、財政、教育活動の4つで「裾野」を広げることが大事です。
前澤さん(都区一般)
 都区一般はもともと東京都職労が打ち立てたもので、都職員の周辺労働者で組織しています。一般には県庁職員の周辺労働者を組織する事になります。最初110名から始まり現在2500名。のべ4900名が加入してきました。
 「♪パートは、速い、安い、仕事キッチリ」が象徴する合い言葉です。実際パート社員は、正規社員よりも仕事はできる場合が多い。
 いまや「正規雇用」は佐渡の朱鷺かもしれません。絶滅の一歩です。公務員は法律で職員団体に登録して組合に入るので、形としては正規雇用中心主義。今の組合は、組合員に入れる人が極端にせばめられています。
 労働市場が悪化していくだけでなく、よい労働の質を維持するために、労働組合が関与することが重要だと考えます。
 昔は我慢からロマンへ(妻の我慢、夫のロマン)でしたが、いまや夫の我慢、妻のロマンに変わってきています。
 

 
 

なくせニュークス
2001MIC長崎フォーラム
〜21世紀に語り継ぐ長崎原爆〜
8月8日(水)午後<フォーラム>  9日(木)午前 記念式典 平和散歩など
ファーラム会場 
参加費用
申し込み締切
ルークプラザホテル TEL 095-861-0055(宿泊は別ホテル)
14,000円(会議費・宿泊費・交流会費含む)交流会のみ参加の方は6,000円
7月19日(金)定員になり次第締め切ります。問い合わせは単産本部まで。