内閣総理大臣に中労委の労働者委員の任命を
 54号通牒に基づき公正に行うよう求める決議

 2000年10月6日か10日には、中労委の第26期労働者委員の任命が行われる。 26期の労働者委員には、民放労連顧問の磯崎弘幸候補をMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)、全労連(全国労働組合総連合)、純中立労組懇(純中立労働組合懇談会)が統一して推薦し、8月11日には25単産で一般企業担当候補として推薦手続きを行っている。9月30日時点で磯崎候補に対して任命内定の通知は届いていない。
 労働者委員を任命する内閣総理大臣は、中労委の13名の労働者委員(一般企業担当9、国営企業担当4)に、5期10年間にわたり連合推薦の候補だけを任命し続け、MIC、全労連・純中立労組懇が推薦する候補を排除し続けてきた。磯崎候補は、24期、25期も立候補したが何の合理的な理由も示す事なく任命から排除された。
 中労委だけでなく全国各地の圧倒的な地労委が中労委の偏向任命に右へならえで、連合推薦候補のみの任命を続けている。昨年9月の沖縄に続いて、今年1月に和歌山でも現役の和歌山県地評推薦の労働者委員が任命から排除された。東京・大阪・高知・埼玉の1都1府2県の6委員以外はすべて連合候補のみの任命という異常な事態が続いている。中労委と全国の地労委の労働者委員のポスト数は、合わせて276ポストである。連合推薦の労働者委員の任命率は276ポスト中270で97.8%を占めている。
 労働者委員の偏向任命は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反しているばかりか、労働者の団結権を侵害する憲法28条違反の国家的な不当労働行為である。
 中労委労働者委員13のポストを、連合が推薦する候補者のみから任命し、それ以外をすべて排除してきた内閣総理大臣の任命行為は、「委員の選考に当たっては、系統別の組合数、組合員数に比例させる」という、労働省自身が1949年に発した第54号通牒の任命基準に照らしても不公正である。この不公正をただすために労働委員会民主化対策会議(MIC・全労連・純中立労組懇で構成)に結集する私たちは、今年3月7日、内閣総理大臣に対して公正任命を求める請願行動を行った。また、公正任命を求める団体署名7153筆を労働省に提出した。9月21日には、衆参両議長宛に公正任命を求める請願書を17,000筆提出した。公正任命を求めて衆参「労働委員会」の五一議員への要請にもとりくんだ。公正任命を求める労働省交渉に加えて総理府に対しても交渉を行った。 内閣総理大臣の偏向任命の不当性については、東京地裁が1997年5月15日の判決で、「したがって、任命権者としては、今後は、これらの事情を踏まえて、労働者委員の設置目的をも考慮しながら、より適切な任命のあり方を検討して行くことが要請されている」と判断している。
 1999年5月12日の名古屋判決では、裁判所が愛知県知事に対して、「公平性、透明性を確保するためにも任命基準の作成し、公表すること」を求めた。1999年6月30日に出された千葉地労委事件での東京高裁判決では、「積極的に、ある系統に属する組合の推薦する候補者を労働者委員から排除することを意図して選任しないとすることも、推薦制度の趣旨に反するものとして裁量権の逸脱に当たる」との判断を示した。
 こうした判決が続く中で、労働省も、1999年度の労働組合基礎調査の方式を改めた。同年12月に発表した調査結果では全労連が106万1千人であると発表した。 MIC、全労連、純中立労組懇に加盟する組合員数は132万人を越えている。54号通牒に基づくなら、中労委の一ポストを任命するには十分すぎる組合員数である。政府は、この調査結果発表後、ILO総会への全労連代表の参加を正式に認める措置を取った。これは、偏向行政を改めようとする新しい動きであるといえる。
 これに続いて内閣総理大臣が改めるべき労働行政は、中労委の労働者委員の偏向任命の中止である。MIC、全労連、純中立労組懇三者が推薦する磯崎弘幸統一候補を26期には必ず任命すべきである。また2001年4月に予定されている独立行政法人担当労働者委員2名の任命においても、連合候補だけの独占任命ではなく、公正な任命を行うべきである。
 日本マスコミ文化情報労組会議に結集する私たちは、間近に迫っている第26期中労委労働者委員の任命、さらには2001年4月の独立行政法人担当委員の任命にあたって、内閣総理大臣が、労働省の99年度の労働組合基礎調査結果や一連の判決を真摯に受け止め、これまで10年間の偏向任命をきっぱりと改め、54号通牒に基づき、公正な任命するよう強く求めるものである。
 右、決議する。

2000年9月30日
日本マスコミ文化情報労組会議 第39回定期大会