職場の安全衛生を確保し、過労死を根絶しよう!

 この一年間MIC関連の過労死認定の運動は大きく前進しました。
 中央労働基準監督署は今年1月、光文社『女性自身』の編集者脇山達さんの死亡について、昨年五月の業務外不支給決定を取り消し過労死として認定し、続いて7月には、労働保険審査会に再審査請求中の共同プロセス・酒井俊峰さんについても自主的に不支給決定取り消し業務上の死亡(過労死)と認定しました。
 同じく7月、東京高裁は映画カメラマン瀬川浩さんの過労死事件で、昨年一月の東京地裁での不当判決を覆し瀬川さんを「労働基準法第9条の労働者と認める」判決を出しました。瀬川事件は判決が確定し、労災申請後十五年目にして原処分庁の新宿労働基準監督署で「業務上=過労死」認定の審査が開始されました。
 ふたつの不支給取り消し決定と高裁判決は運動の大きな成果です。とりわけ光文社脇山事件は、労働行政が裁量労働における過労死をはじめて認定したケースであり、瀬川高裁判決の確定は、多くのフリー映像製作スタッフや俳優等芸能関係者に労災適用の道を開くものとして今後の運動にとって重要な成果です。
 脇山さん・酒井さんの労災認定は、厚生労働省が昨年12月に出した「脳・心臓疾患の新認定基準」に沿ってとられた措置で、八王子労基署の砕石工場プラント主任の過労死事件など、マスコミ以外の業種でも同様の措置がとられていますが、認定基準の緩和はこれまでの過労死認定運動の成果であり、労基署の自主的な不支給決定取り消しは労働行政の流れとしても評価できるものです。
 ところが、地裁・高裁で勝訴している「永井製本・金井義春さん労災事件」は厚生労働省が最高裁に上告したため長期化しています。私たちは「お父さんの過労死認定を求めて14年―金井さんの労災認定闘争」を支持し、厚生労働省に上告取り下げ不支給決定取り消しを強く求めるものです。
 光文社の脇山事件も終わったわけではなく、会社に対する損害賠償裁判が続けられています。行政が過労死と認定した後も光文社は「自らの主張すべきは主張し、裁判所の判断を仰ぎたい」と態度表明しています。こういう不遜な態度は許されるものではありません。
瀬川労災の過労死認定もこれからです。
 さらに大切なことは安全衛生を確保し過労死生み出さない職場にすることです。
 この間厚生労働省は、労働時間短縮や労働安全衛生について、「適正化通達」、「過重労働通達(過労死新認定基準)」「VDT労働新ガイドライン」など、重要な通達を次々と出していますが、残念ながら運動に活かされているとはいえません。
 個別の労災(過労死)認定運動への支援を強化するとともに、労働行政の通達をも活用して、産別・MICの時間短縮・安全衛生運動を前進させ過労死を根絶させようではありませんか。
 右、決議します。

2002年10月5日
日本マスコミ文化情報労組会議
 第41回定期総会