MIC第45回定期総会アピール

 9月20日の自民党総裁選後、9月26日に召集された臨時国会において小泉政権の強行した改革を「加速・補強する」ことを標榜する安部政権が発足した。
 しかし小泉政権が5年にわたって押し進めた「改革」とは一体何であったのか。
 「官から民へ」「大きな政府より小さな政府」というスローガンの下、その実、米国の提示する「年次改革要望書」の指示通りに、私たち国民に痛みを押し付け続けた5年間ではなかったか。
 「4点セット」と言われたマンション耐震強度偽装問題や米国産牛肉輸入問題、防衛施設庁の官製談合問題やライブドア問題などによって、その綻びはあきらかとなったにもかかわらず、その路線を引き継ぎ強化するということは私たち働くものをさらに痛めつけるようということに他ならない。
 競争原理、市場原理にすべてを委ねることを良しとする短絡的な「新自由主義」を信奉し、闇雲に規制緩和を拡大した結果、大企業と中小企業、大都市と地方都市、富裕と貧困といった格差が固定化されようとしている。「頑張ったものは報われる」と言いながら、実際に報われる「頑張り」とは額に汗して働くことではなく、マネーゲームに奔走することでしかない。
 高校や大学を卒業しても定職につけず、今や3人に1人は非正規雇用で働くことを余儀なくされている。ワーキングプアと呼ばれ、働いているのに生活保護水準以下で暮らす家庭も400万世帯に達すると言われている。
 さらに働くものを守るはずの労働法制も、労働契約法制を核に大改悪が準備されようとしている。
 一方で「小さな政府」は強大な権力を志向する。在日米軍の再編のために3兆円もの巨費を投じようとし、教育基本法を改悪し、5年以内に憲法を改悪して自衛隊をアメリカのために海外で武力行使できる軍隊へと変えてしまうことを安部新政権は発足の瞬間から明確に表明している。
 憲法を変えることのみを目的とした国民投票法案はその内容自体が現憲法違反であるが、この法案を成立させるための策動もますます活発になってきている。
 固定化される格差社会の底部から脱出する方法はただひとつ、アメリカのために戦争をする軍隊へ身を投ずることだけである。ゆがめられた教育基本法は愛国心を押し付け、そうした選択がまったく正しいものであると背中を後押しすることになるだろう。
 私たちはこれ以上日本が「美しい国」からは程遠い姿に変えられてしまうのを黙って受け入れることは絶対にできない。
 今こそ労働組合は、労働組合に入る術すら知らない、圧倒的多数の労働者を組織し、働くものの「権利」を守る主体として悪政や、企業の横暴に対峙しなければならない。
 自由にものをいえない空気が世の中を覆い始めている。自由な報道を規制しようとする動きがますます強まっている。私たちマスコミや文化情報産業に従事する労働組合の責任は重い。
 怯むことなく、勇気を持って私たちの声を大きくあげよう! 働くものの命を削る競争社会に確信を持ってNOを突きつけよう! 平和と正義を実現するために、MICの運動を今こそ大きく前進させよう!

2006年9月30日
日本マスコミ文化情報労組会議
第45回定期総会