MIC第48回定期総会宣言

 半世紀余の自民党政権に終止符を打ち、歴史的な政権交代をもたらしたものは何だったのでしょうか。周囲を見渡すと荒涼とした風景が広がっています。貧困層が広がり、寮に住み込むしかない非正規労働者は職を失うと、家もなくし、路上生活を余儀なくされる。弱肉強食の自由競争主義がはびこり、自民党政権が推し進めた規制緩和政策が、人間らしく生きるという生存権すら奪う状況を生んでしまったのです。政官業の癒着構造の下で利益誘導政治を繰り返す一方、市民一人ひとりの命と暮らしを守るという政治の基本を忘れた与党。政治の貧困にたえかねた国民が一斉に怒りの抗議の声をあげたといえるでしょう。
 政治の仕組みが大きく変わりつつある今こそ、マスコミ関連産業の仲間が結集する日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が、破壊されたセーフティーネットを張り替え、人々が安心して暮らせる社会を築いていくために立ち上がる時です。断固として組合員の雇用といのちを守る。弱い立場にある非正規労働者の待遇向上や正社員化のために力を尽くす。派遣法の抜本改正を含めて、働く人々の切り捨てを許さない労働法制の構築に声をあげていく。他の労働組合やNPO、市民団体とも手を携えて、前に進んでいきましょう。
 民主、社民、国民新の3党連立政権の誕生によって、自民党政権下で推し進められた憲法の明文改憲路線にはいったんブレーキがかかるでしょう。とはいえ、民主党幹部は、憲法9条違反の疑いがあるテロ特措法に基づくインド洋への補給支援活動について「単純延長しない」とあいまいな態度に終始し、沖縄の普天間基地の県外移設についてもすでに米国を気遣って言葉を濁し続けています。海賊対処法に基づくアフリカ・ソマリア沖への自衛隊派遣をはじめ、対米従属の自公政権下で進んだ解釈改憲の動きに新政権がどう向き合うのか、徹底的に監視していきましょう。MICの重大な役割の一つです。
 私たちが目指す平和な社会を築く土台は何より、多様な価値観、異なる言論が保障されることです。軍国主義と超国家主義が結びつき、公共空間を一色に埋め尽くして窒息させた過去を振り返れば明らかでしょう。しかし、押し紙問題を告発したフリージャーナリストへの読売新聞による言論封じ裁判、沖縄戦の史実をゆがめる「大江・岩波沖縄裁判」、日本の台湾統治時代を描いたNHKの放送への集団訴訟など言論・表現・出版の自由を脅かそうという動きが相次いでいます。鳩山連立内閣は政権交代が実現したまさにその日、各省事務次官会議の廃止に伴い、毎週行われてきた事務次官の定例記者会見を廃止することを申し合わせるなど、新たなメディア規制を打ち出してきました。
 自由で公正、そして平和な社会を築いていく。それを阻害するいかなる規制や攻撃に対しても、MICに集う仲間たちがともに手を携え、たたかっていきましょう。

2009年9月26日
日本マスコミ文化情報労組会議
第48回定期総会