連載第四回目は、今年4月1日に改正されたパートタイム労働法について、考えてみたいと思います。パートタイム労働法の改正は、パートタイムという働き方を選択した労働者が、その能力を有効に発揮できるよう、労働環境等の改善を一層進めるために行われました。分かり易い例では、業務内容は正社員と同じなのに、賃金やその他の待遇で差があるものを、より正社員のそれと近づける、あるいは同等とするなどです。 以下に、パートタイム労働者の定義、改正のポイントなどについて、記述したいと思います。

パートタイム労働者

パートタイム労働者は、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者に比べて短い労働者を言います。簡単に区別するとすれば、正社員以外の労働時間で業務に従事する労働者といえるでしょう。

改正のポイント

1.一定の労働条件について明示義務が追加

現行の明示義務(労働契約期間、就業場所、従事する業務内容、労働時間(始業・終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇等)、賃金(計算及び支払方法、賃金締切日、支払時期)、退職(解雇事由む))に加えて、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無が追加されました。

2.労働者の求めに応じて、待遇の決定に当たって考慮した事項を説明することの義務化

労働条件の文書交付等、就業規則の作成手続、待遇の差別的取扱い禁止、賃金の決定方法、教育訓練の実施等、福利厚生施設の利用等、通常の労働者への転換推進のための措置を説明することが、義務付けられました。

3.パート労働者の働き方に応じた均衡のとれた待遇の確保

労働状態が、正社員と変わらない労働者の待遇を、差別的に取り扱うことが禁止されました。

4.正社員への転換を推進するための措置を講じることが義務化

パート労働者にも正社員のポストへの応募機会を与えたり、パートから正社員への試験制度を設けるなどが、義務付けられました。

5.パート労働者からの苦情の申し出に対応すること

苦情の申し出には事業所内での自主的解決に努めることが求められるほか、紛争解決援助の仕組みとして、都道府県労働局長による援助や紛争調整委員会による調停が設けられます。

※ 尚、上記改正にあたり、改正パートタイム労働法(第15条)では、事業主は、常時10人以上のパートタイム労働者を雇用する事業所ごとに「短時間雇用管理者」を選任するよう努めなければならないものとされています。

以上、第四回目は、パートタイム労働法についてまとめてみました。我々も、見方を変えれば、パートタイム労働者といえなくも無いのではないでしょうか。日々の業務に埋没することなく、問題点を意識しなら、少しずつでもより働き易い環境を作り出していくよりほかないでしょう。

(組織部:H.O.)
 
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